本年は過去2年間の成果に基づき,埋込磁石同期電動機における,①位置センサレス制御,②磁気飽和現象対策,③電動機駆動用電力変換器(インバータ)の非線形性対策 の3問題を同時に解決するシステムの実現を図った。過去2年で計算機シミュレーションにより得られた性能とほぼ同様の性能が実現されたことから,手法の妥当性ならびに有効性を示すことができた。 さらには,電力変換器(インバータ)の非線形駆動領域を利用した場合に生じるフィードバック用電流の6次高調波成分が制御性能を低下させることを明らかにし,その対策として「くし形フィルタ」を用いた低演算量で高速処理が可能な特定高調波除去法を提案した。公知の方法ではインバータの電圧制御誤差と電動機の高調波等価回路から電流の高調波成分を求める。したがって,モデル次数が高く,回路パラメータが必要となることから,提案法の有用性は明らかである。
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