研究課題/領域番号 |
24560356
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 釧路工業高等専門学校 |
研究代表者 |
高 義礼 釧路工業高等専門学校, 電子工学科, 准教授 (80335091)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 帯電体 / 移動 / 気中放電 / 放電ギャップ長 |
研究概要 |
実際の帯電した人体からの静電気放電に即した新たな静電気対策試験法を確立することを目的に,H24年度は実験システムの構築と試験運用をおこなった。以下に成果を報告する。まず,実験システムの構築においては当初予定していたものから若干の変更をおこなった。具体的には,当初の予定では放電発生から充電された電極がグラウンド電極に衝突するまでの時間をレーザ光とフォトダイオードを使ってダイオードの出力電圧の変化から把握することを目指していたが,位置合わせなど使い勝手の問題からモータを回転させる電気回路の途中にスイッチを設け,電極の衝突によりこのスイッチが切れることから電極がグラウンド電極に衝突するまでの時間を把握できるように改良した。また,グラウンド電極も当初は球体を予定していたが,こちらも扱いやすさなどの観点から平板に変更した。このシステムを用い試験的に実験をおこなったところ,電極の速度によって放電ギャップ長が変化すること(高速移動の場合は低速移動の場合に比べてギャップ長が短くなること)が確かめられた。成果についての発表は平成24年度釧路高専専攻科学生特別研究発表会(学外発表)でおこなった。また,H25年3月の電気学会全国大会において情報収集をおこなった。この際得た情報や意見交換をもとにして,当該研究に関連しておこなっていた実験結果を使って論文を執筆し,電気学会C部門の特集号へ投稿した。この論文は放電ギャップ長,絶縁破壊電界を電気回路論的手法で推定するものであるが,本研究で測定される放電ギャップ長の結果により推定手法の検証がおこなえる。現在,実験システムの測定精度などについて確認をおこなっているが,得られる値の信頼性について明らかになり次第様々な速度や充電電圧でデータの蓄積をはかりたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験システムの改良などでシステム構築に若干の遅れが生じたものの,現在は概ね完成しデータの正しさなどの検証をおこなっている。試験的におこなった実験では,電極の高速接近の方が低速接近に比べて放電ギャップ長が短くなる傾向が見られ,良好な結果が得られはじめている。成果発表は平成24年度釧路高専専攻科学生特別研究発表会(学外発表)でおこなうことができた。また,電気学会の全国大会においておこなった本研究に関する情報収集や意見交換を通して関連論文を執筆できたことは一定の成果と言える。全体を通してみるとほぼ順調に研究が進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
【4月から9月までの計画】 前年から引き続き放電ギャップ長の測定をおこなう。平成25年度においては種々の帯電電圧、移動速度を用いてデータ取得をおこない、気中放電のメカニズム(なぜ電極の移動速度が放電ギャップ長に影響するか)の推測につなげるための特性測定をおこなう。 【10月から3月までの計画】 蓄積された測定結果をもとに電子情報通信学会の環境電磁工学研究会や電気学会の電磁環境研究会などで報告することを目指している。学会発表等でいろいろ指摘を受けた点を参考にし、実験方法の改良や追加実験などをおこないたい。また、年度の後半、年度末までに成果を論文にまとめ投稿をおこなう計画である。投稿先は電子情報通信学会の通信ソサイエティ論文誌または電気学会のA部門誌を考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
旅費に250,000円計上しているが,成果発表,情報収集に使用する。また,その他に50,000円計上しているが,大会参加費などに使用予定である。
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