研究課題
本研究は、電磁波を用いて、狙った方向にワイヤレスで電力を送電することを目的としている。電磁波の中でも、特に、センチメートル波 (SHF,3GHz~30GHzの周波数の電磁波)より波長の短い電磁波は、直進性を持っており、この目的を達成するのには都合が良い。そこで、ホーンアンテナ1つとパラボラアンテナ1つの組を送電用アンテナ用と受電用アンテナ用に2組用意し、これらの間で18GHz~20GHzの電磁波による電力送電を行なった。電力を送電する伝送系は、2組のアンテナの間を伝わるガウシアンビームのビーム半径と同位相面の曲率半径に着目し、ガウシアン光学系として設計された。具体的には、用いるホーンアンテナの形状から、ホーンアンテナ開口部でのガウシアンビームのビーム半径と同位相面の曲率半径を見積もり、これらの値をもとにして設計が行われた。その結果、ホーンアンテナから約350mm離れた位置に、パラボラアンテナ(中央部の曲率半径が780mm)を配置すると、パラボラアンテナの面上でのビーム半径が見積もられ、半径が200mmのパラボラ面を準備すれば、ホーンアンテナによるブッロクキングが15%あるものの、充分な電力伝送が行えることが分かった。伝送距離(送電用アンテナと受電用アンテナの距離)が1500mmの場合で、アンテナの間でのビーム半径の変化は5%未満であることも分かった。設計で得られた数値をもとに、光軸調整用のレーザーコリメーターを設置できるパラボラアンテナを2台製作し、光軸調整後にこれらの間で伝送実験を行った。その結果、伝送距離が1500mm±10%変化しても、18GHz~20GHzの帯域で、40%~50%の電力伝送効率が達成できることを実験的に確認した。
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Applied Superconductivity, IEEE Transactions on
巻: 25 ページ: 6800304
10.1109/TASC.2014.2360584