研究課題/領域番号 |
24560363
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
石井 清 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30134258)
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研究分担者 |
佐久間 洋志 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40375522)
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キーワード | 微粒子 / 磁性微粒子 / ガスフロースパッタ |
研究概要 |
本研究では、新しく工夫したガスフロースパッタ法(GFS法)により、いままで他に報告例のない、いがぐり状やサイコロ状の純鉄(Fe)の微粒子を、再現性よく作製できることを実証し、微粒子作製法として新たな技術を確立することを第一の目的としている。その研究と合わせて、それらの磁性微粒子の応用、例えば、高機能な磁性流体の実現、高効率な磁気分離(ドラックデリバリーなど)の実現、“急速変換磁場細胞膜開孔法”と呼ばれる新しいガン治療法の開発、などに供するために、作成した磁性微粒子の物性評価と磁界応答解析を行う。いがぐり状やサイコロ状のFe微粒子は、大きな磁化と大きな形状磁気異方性を持つので、磁界に対する運動が特異なものとなり、前述の応用上極めて有用と考えられ、電子材料分野における『新しいコンセプトの微粒子作製法の確立』『非球形磁性微粒子の応用』という二つのイノベーションを期待している。 本年度は、GFS法によるFe粒子作製において、圧力の増加と対向ガス導入の影響を調べた。その結果、圧力を高くすることにより小さな粒子が少なくなっていることが確認された。また、対向ガス導入(スパッタ蒸気を含むArガス流に向かって細管よりArガスを流すこと)により粒子成長の促進が見られた。シミュレーションによると対向ガスを流すと両ガス流が衝突する場所で大きな流れの変化が生じ、ガスの混合が起きていることが予想される結果が得られた。そこで、実験により確認を試みた。しかし、本年度は実験装置のセットアップができ、一部実験が行えたのみにとどまった。その結果では、残念ながらすべての条件において膜状のFeが堆積し、飛来する間に粒子成長が完了する条件を見出すことはできなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度の研究においては、新しいアイデア(対向ガスの導入)による微粒子化を終了させることを検討した。まず、シミュレーションによりその効果を検討したところ、期待した効果が予測された。その結果に基づいて、実験を開始したが十分な実験を行うことができなかった。 以上の理由により、この評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
ガス中蒸発における微粒子成長の研究は古い歴史をもっているが、原子レベルの凝縮過程と移送中の成長過程を同時に扱うことは非常に難しいとされている。そのため、従来のガス中蒸発と異なり、移送中のガスの流れが粒子のサイズや形状に大きな影響を与えることが考えられる。特に、スパッタ蒸気がスパッタガスにより移送されるときに渦を作ることで、粒子成長を完了させ、た粒子が容器に付着することなく回収できるものと期待される。今年度までの研究により、実験とガス流に対する計算機シミュレーションとの対応がかなり明らかになり、また、対向ガス導入という新しいアイデアの有効性が予想されるので、詳細な実験を重ねて行うことにより、期間内に目的の成果を得ることができると考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費の端数として残金となった。 次年度に消耗品費として使用予定。
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