研究課題/領域番号 |
24560364
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
櫻井 浩 群馬大学, 理工学研究院, 教授 (80251122)
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キーワード | 電場誘起磁化反転 / 国際研究者交流(USA) |
研究概要 |
本研究ではFe/MgO磁気トンネル接合界面(Au/Fe/MgOサンドイッチ膜)における磁気コンプトンプロファイルの電場効果および磁場効果を測定し、電場誘起磁化反転に関与する波動関数の対称性を実験的に抽出することを目的とし、①Au/Fe/MgO多層膜の磁気コンプト ンプロファイルの電場効果および磁場効果の測定②理論的に指摘されているFe3d電子の磁気量子数|m|=0と|m|=2の対称性に着目し、DV-Xα法理論計算利用した解析を行う。 平成24年度は、Au/Fe(001)/MgO(001)/Feのシークエンスで多層膜を作製し、Fe(001)/MgO(001)界面の結晶方位制御した多層膜の作製に成功したので、平成25年度は放射光施設に課題申請し、磁気コンプトンプロファイルの磁場依存性を測定した。SQUID磁力計による磁化測定と磁気コンプトンプロファイルの磁場依存性からスピン選択磁化曲線(SSMH)と軌道選択磁化曲線(OSMH)を求めた。さらに、磁気コンプトンプロファイルの解析から、Fe3d電子の磁気量子数|m|の対称性別SSMHを求めた。その結果、軌道の対称性によって磁化反転特性が異なり、磁気量子数|m|=2の対称性はOSMHに対応していることを見出した。また、SQUID磁力計による磁化測定では垂直磁気異方性が観測できないにもかかわらず、磁気量子数|m|=2の対称性別SSMHよびOSMHに垂直磁気特性が観測された。これらの結果は軌道の対称性によって、電場・磁場の外場に対する応答が異なることを示す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究ではFe/MgO磁気トンネル接合界面(Au/Fe/MgOサンドイッチ膜)における磁気コンプトンプロファイルの電場効果および磁場効果を測定し、電場誘起磁化反転に関与する波動関数の対称性を実験的に抽出することを目的とし、①Au/Fe/MgO多層膜の磁気コンプト ンプロファイルの電場効果および磁場効果の測定②理論的に指摘されているFe3d電子の磁気量子数|m|=0と|m|=2の対称性に着目し、DV-Xα法理論計算利用した解析を行う。 平成24年度にはFe(001)/MgO(001)界面の結晶方位制御した多層膜の作製に成功している。平成25年度は放射光施設に課題申請し、磁気コンプトンプロファイルの磁場依存性の測定、SQUID磁力計による磁化測定を行った。その結果スピン選択磁化曲線(SSMH)、軌道選択磁化曲線(OSMH)および磁気量子数|m|を区別した対称性別SSMHを得ることに成功した。本研究から、磁化反転に寄与する波動関数の対称性を抽出することができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究ではFe/MgO磁気トンネル接合界面(Au/Fe/MgOサンドイッチ膜)における磁気コンプトンプロファイルの電場効果および磁場効果を測定し、電場誘起磁化反転に関与する波動関数の対称性を実験的に抽出することを目的とし、①Au/Fe/MgO多層膜の磁気コンプト ンプロファイルの電場効果および磁場効果の測定②理論的に指摘されているFe3d電子の磁気量子数|m|=0と|m|=2の対称性に着目し、DV-Xα法理論計算利用した解析を行う。 平成24年度にはFe(001)/MgO(001)界面の結晶方位制御した多層膜の作製に成功している。平成25年度は放射光施設に課題申請し、磁気コンプトンプロファイルの磁場依存性の測定、SQUID磁力計による磁化測定を行った。その結果スピン選択磁化曲線(SSMH)、軌道選択磁化曲線(OSMH)および磁気量子数|m|を区別した対称性別SSMHを得ることに成功した。本研究から、磁化反転に寄与する波動関数の対称性を抽出することができた。 本研究では、特定の対称性を有する波動関数、すなわち特定の磁気量子数|m|が磁化反転に寄与することを見出した。磁気量子数|m|は軌道角運動量に関連した物理量であり、カー回転角の測定によって検出できる可能性がある。そこで、今後は磁気カー回転角の測定・解析を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額1,372,804円が生じた理由は試料評価にあたり、液体ヘリウム等の寒剤の利用を見込んでいたが、平成24年度-平成25年ヘリウムガスの供給不足により購入できなかったことである(100万円)。関連して、平成24年度はやや進行が遅れ、学生の謝金支払、国際会議の出席等が計画より少なかった(40万円程度)。以上から次年度使用額1,372,804円が生じた。 液体ヘリウム等の寒剤の供給不足のため、電磁石を用いた振動試料型磁力計で(VSM)で磁場1T以下で試料評価を行っていたが、液体ヘリウム等の寒剤の供給不足が緩和されたため、SQUID磁力計を用いて1T以上の磁場での試料評価を行う。消費税増税、寒剤の供給コスト増があるが、当面寒剤の利用金額を100万円程度と見積もる。 また、研究が計画通りに進展したことから、学生の謝金、学会発表旅費が必要となる。本件は40万円程度と見積もる。そのほかは当初の計画通りに執行する。
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