研究課題
HfO2/SiC基板の常圧酸化実験において、酸化時間を拡大することで、酸化膜表面でのSiO2膜成長(アクティブ酸化)から、SiO2/SiC界面での成長(パッシブ酸化)へ移行する様子の確認を試みた。角度分解X線光電子分光測定による深さ方向分析を行ったところ、酸化時間10分まではアクティブ酸化が支配的であったが、60分から酸化界面での成長が見られた。従い、筆者らがSiC酸化メカニズムとして推定していた「SiC酸化中におけるSiおよびC原子放出現象」と、「酸化膜成長に伴う表面酸化から界面酸化への移行」が初めて実験的によって確認された。様々な基板面方位に対する酸化過程をその場観察し、面方位による酸化過程の違いを調べた。その結果、薄膜領域における酸化膜成長速度の活性化エネルギーは表面Si原子のバックボンド本数の違いと一致した。従い、面方位による酸化膜成長速度の違いは表面Si原子1個が酸化する際に切断されるSi-C結合エネルギーに比例するという、極めて合理的な結論が得られた。一方、膜厚が厚い領域での成長速度に対応する放物形速度定数Bは面方位に依存せず面方位で共通の値を示し、酸素のSiO2中における拡散係数の値と一致した。従って、厚膜領域では基板面方位の違いは影響せず、SiO2中における酸素の内向拡散に律速することがわかった。熱酸化によって誘起されたSiC基板における欠陥を評価するため、フォトルミネッセンス(PL)イメージングによる観察を行った。その結果、第2年度までに明らかにされた酸化拡張型の積層欠陥(SF)に加え、発光波長を変えることで新たに線状の欠陥が形成することを突き止めた。また、その線状欠陥が酸化時間に伴って伸長し、更に、レーザ照射によって欠陥から三角形状のSFが形成/拡張することがわかった。欠陥の拡張方向から、線状欠陥は酸化界面付近に存在することがわかり、線状欠陥がSi酸化に見られる「酸化誘起SF」と同種であることが示唆された。
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