• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実施状況報告書

スピンフィルタ二重障壁構造の作製とホールスピン注入源の開発

研究課題

研究課題/領域番号 24560375
研究機関山口大学

研究代表者

浅田 裕法  山口大学, 理工学研究科, 准教授 (70201887)

研究分担者 仙波 伸也  宇部工業高等専門学校, 電気工学科, 准教授 (40342555)
キーワードスピンフィルタ / 強磁性半導体
研究概要

今年度はInP基板を用いたときのEuSやEu(S,Te)の成長条件のさらなる検討、EuS/GeTe/EuS積層膜の成長、および、単層膜ならびに積層膜の磁気特性評価を行った。InP(100)基板上のEu(S,Te)については、Te濃度0.22(XRDにおける回折ピークのシフト量より算出)までエピタキシャル成長することができ、x=0.20のとき最も良好な結晶性を示した。磁気特性を評価した結果、InP(100)基板上のEu(S,Te)の場合は、EuSとの保磁力差は得ることはできなかった。InP(100)基板上のEuSの成長について、サーマルクリーニング時にAs供給を行った成長を試みた。このときAs照射蒸気圧や基板温度について検討したが、現状の装置ではEuS成膜時のAs残留蒸気圧が高く、超高真空下でのEuS成膜が困難であった。次に、障壁層の厚さ程度である2 nmのEuS上にGeTeを積層したところGeTeは、基板面方位である(100)へのGeTeエピタキシャル成長膜が得られた。このことから、InP基板へのホール注入源として期待される。一方、EuSを厚く(72 nm)するとEuSおよびGeTeは(111)へ成長した。また、反強磁性体であり、かつ、広いバンドギャップを有する閃亜鉛鉱型MnTeの成長を試みた結果、Teの供給量を調整することでRHEEDにおいてストリークパターンが得られた。分光光度計による透過特性から評価したバンドギャップは3.04 eVであった。
EuS/GeTe(膜厚:0.75~2 nm)/EuS積層膜の成長を行い、SQUIDにより磁気特性を評価した。成長後のRHEED像はトリーク&スポットパターンであったが、磁気特性の評価結果からは、層間結合に反強磁性的振る舞いはみられなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

EuSやEu(S,Te)、および、EuS/GeTe/EuS積層膜の成長や磁気特性についてはさらに多くの知見が得られた。しかしながら、InP基板においてはEu(S,Te)の成長による保磁力差やEuS/GeTe/EuS積層膜における反強磁性的結合が得られなかったことなどから、ニ重障壁構造における電気伝導および磁気輸送特性の解明が遅れている。

今後の研究の推進方策

今後は、EuS/GeTe/Eu(S,Te)(またはEuS)、および、EuS/GeTe/EuS/(Ge,Mn)Te(またはMnTe)構造の作製と磁気特性、電気伝導特性および磁気輸送特性の評価を行う。
(1) EuS/(Ge,Mn)TeおよびEuS/MnTeの成長
保磁力差を得る手法として、強磁性半導体である(Ge,Mn)Teとの積層膜EuS/(Ge,Mn)Teの成長を行い、磁気特性を評価する。H25年度にはMn/Te供給比を適正化することで反強磁性膜であるMnTeの成長に成功したことから、EuS/MnTeの成長も行い、磁気特性の評価を行う。また、積層膜におけるEuSの結晶性の向上を図るため、EuSバッファー層におけるGeTeのさらなる成長条件の検討に加え、EuSの優先成長方向であるInP(111)基板への成長についても試みる。
(2) ニ重障壁構造の作製と磁気および電気伝導特性評価
まず、BaF2基板において保磁力差が得られたEu(S,Te)を用いてEuS/GeTe/Eu(S,Te)構造を作製し、磁気特性ならびに電気伝導特性について検討する。このとき、強磁性絶縁層の厚さについて検討することにより、積層膜において磁化の反平行状態の実現を目指すとともにニ重障壁構造における電気伝導特性を評価する。これらの実験結果に加え、(1)における評価結果をフィードバックさせながら、磁化制御がなされた素子を作製し、磁気輸送特性について評価する。

次年度の研究費の使用計画

InP(111)基板について当初予定の基板枚数の確保ができなかった。
InP(111)基板について、EuS単層膜ならびに積層膜の成長条件を検討し、これまでの基板における膜との比較を行う。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Characterization of epitaxial EuS(111) thin films on BaF2(111) and SrF2(111) substrates grown by molecular beam epitaxy2013

    • 著者名/発表者名
      S. Senba, N. Matsumoto, M. Jomura, H. Asada, Y. Fukuma, T. Koyanagi, K. Kishimoto
    • 雑誌名

      Journal of the Korean Physical Society

      巻: 62 ページ: 2109-2112

    • DOI

      10.3938/jkps.62.2109

    • 査読あり
  • [学会発表] MBE法によるInP(100)基板上へのTeドープEuS薄膜の成長2013

    • 著者名/発表者名
      植田, 松本, 今泉, 柿丸, 仙波, 浅田, 岸本, 小柳
    • 学会等名
      2013年度応用物理・物理系学会中国四国支部合同学術講演会
    • 発表場所
      香川大学(高松市)
    • 年月日
      20130726-20130726

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi