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本申請研究について、当該年度では新しい縮環芳香族群を配位子部位に組み込むことに成功し、その特異な蛍光特性について評価した。通常の縮環芳香族群では、溶液での濃度が濃くなるにつれてエキサイマー発光を示し、且つ濃度消光を起こして発光消失が観測される。また、結晶などの固体状態ではエキサイマー発光も極めて弱いものである。合成した錯体ではそのようなエキサイマー発光や濃度消光は観測されず、モノマーの発光が固体・溶液状態の関係なく観測できた。これは、結晶構造解析の結果から、縮環芳香族部位がＣＨ－π相互作用で配向固定制御されており、本申請課題の錯体構造を利用した集積制御が可能になった。
加えて、新しい縮環芳香族群として、蛍光特性を有するもののみならずｐ及びｎ型半導体特性発現が期待できる複素環化合物群のユニット合成を併せて行いそれらの特性評価を行った。その結果、それぞれのユニット芳香族化合物群は半導体特性を示し、その部位の配向制御と集束により３次元的伝導半導体の創成が可能となった。また、その芳香族部位に金属イオンとのキレート部位を導入、錯体とすることにも併せて成功している。
さらに、芳香族部位を錯体構造によって集積させるだけでなく、水素結合などの弱い相互作用により配向制御させるため、芳香族部位に修飾させることで相乗効果を狙える。特に水素結合部位として、環状ラクトン系アミノ酸類を選定し、その基本構造を明らかにした。現在、芳香族部位への修飾を継続して行っている。
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