研究課題/領域番号 |
24560385
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
山口 敦史 金沢工業大学, 工学部, 教授 (60449428)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | GaN / 窒化物半導体 / 半導体レーザ / 価電子帯 / 偏光特性 / へき開共振器ミラー |
研究概要 |
本研究の目的である「半極性GaN基板上に作製した劈開共振器ミラーを有する窒化物半導体レーザ」を実現し、その有用性を確かめるため、まずは理論的計算として、現実的な光学利得を計算するための数値計算プログラムを作成し、計算を開始した。この計算を行うにあたっては様々な物性パラメータが必要となり、それがレーザ特性に大きな影響を与えることを発見した。そして、これらの物性パラメータの正確に決定するために必要な実験方法を考案し、提案した(国際会議に投稿し、5月に発表予定)。その一方で、実験的な研究にも着手を開始し、半極性GaN基板を作製と、その光学的評価を行い、品質の良い基板が作製できたことを確認した。また、その基板の上にInGaN量子井戸レーザを作製した際に、レーザの光学利得をVariable Stripe Length法で測定するために、励起光源としてYAG-THGレーザを購入し、それを用いて光学利得測定系を構築し、従来のc面GaN基板上のInGaN量子井戸レーザの光学利得スペクトルをきれいに測定することができた。今後、半極性GaN基板上にInGaN量子井戸を作製した際には、このシステムを利用して、偏光ごとの光学利得を測定することが可能となる。さらに、光学利得を測定する前の段階の光学異方性の評価を行うために、顕微偏光PL測定系、及び、偏光PLE測定系を構築した。顕微偏光PL測定は広く行われている測定法であるが、後者の偏光PLE測定系はあまり行われていない方法である。偏光PLE測定系では、活性層の状態密度を偏光ごとに分離して見ることができるため、レーザ構造を作成する前の単なるInGaN量子井戸試料の段階で光学利得に直接つながる情報を得ることができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理論計算による光学利得の計算、実際のサンプルの準備、光学測定系の構築ともに順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
理論研究については、計算プログラム自体はほぼ完成した状態になっているので、今後具体的な素子設計につながる計算をどんどん進めていきたい。ただ、この際に使用する物性パラメータ(変形ポテンシャルや価電子帯Aパラメータ)が計算結果に大きな影響を与えることがわかっている。したがって、まずはこれらのパラメータを正確に決定するために、これまで報告されているすべての実験データを矛盾なく説明するパラメータの値を求めるようなことを行いたい。一方、実験的には研究協力者の企業の方々との連携の下に実際のサンプル作製を引き続き進めていく。そして、作製されたサンプルの質的な評価を、すでに構築した光学評価系で行うとともに、偏光PL(PLE)測定や光学利得測定を行うことにより、本研究テーマで提案しているへき開面共振器ミラーをもつ半極性面上InGaNレーザの優位性の確認につながる実験を行っていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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