研究課題/領域番号 |
24560386
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
遠藤 和弘 金沢工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50356606)
|
研究分担者 |
立木 昌 筑波大学, 数理物質科学研究科(系), 研究員 (20028111)
有沢 俊一 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (00354340)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | テラヘルツ発振 / 高温超伝導 / 薄膜 / MOCVD法 |
研究概要 |
本研究の分担者である立木昌は、非c軸配向膜を用いると、今までのバルクやc軸配向膜では実現不可能な、全く新しいデバイス構造が可能になり、テラヘルツ波の発振強度が飛躍的に上昇し、コンパクトな増幅器や検出器もできることを、理論的に示した。 本研究では、有機金属化学気相成長法(MOCVD法)を用いて、Bi2Sr2CuO6+x (Bi-2201)薄膜を作製し、基板の格子との格子エンジニアリングにより、配向性の制御を行い、c軸配向(001) Bi-2201膜、およびc軸が基板に対して約45度傾いた非c軸配向(115)Bi-2201膜の作製に成功した。これにより、MOCVD法で、Bi系銅酸化物Bi2Sr2Ca2Cu3O10+x (Bi-2223)、Bi2Sr2CaCu2O8+x (Bi-2212)、Bi-2201のすべての酸化物について、それぞれ(119)、(117)、(115) 配向の非c軸配向膜を得ることができた。 しかし、新規構造を持つテラヘルツ発信素子を作製するためには、双晶のない非軸配向膜が不可欠である。我々は、傾斜基板を用いることにより、双晶のない(119)Bi-2223および(117)Bi-2212薄膜を作製したが、もう一つのアプローチとして、c軸が基板に水平、即ちCuO2面が基板に垂直に配向した、「究極の非c軸配向」と言うべき、a軸配向の実現を追い求めてきた。非c軸配向の中でもa軸配向膜の場合、素子構造が最も簡単なプラナー型構造で、テラヘルツ波の入射、放射の方向が基板面に垂直なため効率が良いと考えられるからである。その結果、Bi-2223単位格子のb、c軸長と整合する格子を持つ基板を見出し、これを用いて、双晶のないa軸配向した(100)Bi-2223超伝導膜の作製に世界で初めて成功した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1層から3層まで、銅の層数が異なるビスマス系銅超伝導体の薄膜について、配向制御することができた。とくに、究極の配向と言うべきa軸配向の単結晶膜の作製に世界ではじめて成功した。
|
今後の研究の推進方策 |
高出力のテラヘルツ波発振に向けて、面内に固有ジョセフソン接合を持つ新しい素子構造を作るため、Bi-2223のa軸配向膜の高品質化を進める。
|
次年度の研究費の使用計画 |
主として、有機金属化学気相成長法(MOCVD法)によるBi系銅超伝導薄膜の作製に必要な固体原料と高純度アルゴン、酸素のガス原料、結晶基板の購入に使用する。その他、消耗品として、ガスケット、真空オイル、サセプター、石英トレー等、MOCVD薄膜作製装置のメンテナンス材料の購入に使用する。
|