研究課題
本研究では、薄膜を使って、実用レベルの発振強度を持つテラヘルツ(THz)素子を目指し、Bi系超伝導体薄膜の高品質化を進めてきた。その過程で、非c軸配向の単結晶膜を用いると、今までに無い全く新しいデバイス構造が可能になり、実用化に向けブレークスルーするべき最大の課題の「強度問題」を解決する、画期的なTHz素子ができることを着想した。すなわち、非c軸配向膜の表面に電極を設けるだけの極めて簡単な構造(プラナー型)では、電極間に多数の固有ジョセフソン接合(IJJ)が形成でき、IJJ数の2乗に比例するTHz波の発振強度の増加が期待される。これは、バルク結晶やc軸配向膜では不可能である。そこで、有機金属化学気相成長法(MOCVD)により、THz波が吸収されない低誘電率基板上に、基板と薄膜との格子整合性を使う格子エンジニアリングの手法を駆使し、Bi系超伝導体Bi-2201、Bi-2212、Bi-2223のすべての酸化物について、それぞれc軸が約45度傾き、新構造素子に適した (115)、(117)、(119) 配向の非c軸配向膜を作製した。とくに、新構造のTHz素子では、電極間でc面が繋がっていると発振しないので、c面が一方向に揃った双晶の無い単結晶薄膜を作ることが重要である。本研究では傾斜基板を用いてステップフロー成長することにより、この「双晶問題」を解決した。これらの配向性を制御した非c軸配向の単結晶膜の評価は、新たに開発したψ-φスキャンによるX線回折により可能になった。もう一つのアプローチとして、c軸が基板に水平、即ちCuO2面が基板に垂直に配向した、「究極の非c軸配向」と言うべき、a軸配向の実現を追い求めてきた。その結果、Bi-2223単位格子のb、c軸長と整合する格子を持つ基板を見出し、これを用いて、双晶のないa軸配向した(100)Bi-2223超伝導膜の作製に世界で初めて成功した。
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