研究課題/領域番号 |
24560387
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研究機関 | 一関工業高等専門学校 |
研究代表者 |
佐々木 晋五 一関工業高等専門学校, 准教授 (80225870)
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研究分担者 |
齊藤 伸 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50344700)
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キーワード | 磁性材料 / 薄膜材料 / グラニュラー構造 / 薄膜作製プロセス / スパッタリング |
研究概要 |
現在実用化されている垂直磁気記録ハードディスク(HD)媒体の記録層は,SiO2を代表とした酸化物を粒界に析出させたc面配向CoPt基コラム状磁性結晶粒の集合組織 (グラニュラ組織) からなる.HD媒体の高密度化および媒体ノイズの低減のため,グラニュラ型記録層の結晶粒径の微細化は必須である.一方,記録層の磁性粒の微細化は磁気記録特性の劣化をもたらす.この熱揺らぎの問題を唯一解決する方法が高い一軸結晶磁気異方性エネルギー(Ku)を持つ材料を磁性結晶粒に用いることである.本研究では,HD用垂直磁気記録媒体の高記録密度化のために高Ku磁性材料の開発およびその磁性材料のグラニュラ化を目的とする.また,高Kuグラニュラ材料は,次世代HD媒体に採用されることが有望視されている熱アシスト/マイクロ波アシスト型磁気記録を実現する基盤材料として重要である. 平成25年度は,CoPt基合金薄膜の原子層毎の組成変調構造導入による高Ku化とCoPt基合金のグラニュラ化の検討を行った。その結果,以下のことがわかった.(1)Co-Pt合金薄膜におけるPt元素を第3元素置換による積層欠陥の抑制指針が得られた.(2)高Ku化に関して,原子層組成変調構造の形成要因とその促進方法の知見が得られた.(3)グラニュラ化の手法として,酸素組成を制御できるスパッタリングターゲット,新しいタイプの組替えターゲットを開発した.(4)グラニュラ化の一手法として溶解ターゲットによるリアクティブスパッタリングを検討し,成膜および作製された薄膜の解決すべき問題点を明らかにした.さらに成果として,今まで得られた知見である薄膜の酸素組成のスパッタプロセス依存性を応用し,グラニュラ型記録層の磁気的交換結合を成長初期部に高ガス圧成膜層を厚さ1nm挿入することによって大幅に抑制できた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CoPt基合金薄膜の原子層毎の組成変調構造導入による高Ku化と,CoPt基合金の柱状グラニュラ組織化の検討に関しては,予定通りの成果が得られた.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は,「CoPt基合金の柱状成長結晶粒からなるグラニュラ組織の実現」に取り組む.このグラニュラ膜の実現には,CoPt基合金の原子層組成変調構造,積層欠陥排除,完全六方晶化のほかに均一粒径かつ分離の良い柱状成長したグラニュラ組織が求められる.作製プロセスも含めたこれまでの知見を全て生かして,高Ku磁性結晶粒と非磁性粒界からなるグラニュラ材料を実現する.
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