研究課題/領域番号 |
24560391
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
日景 隆 北海道大学, 情報科学研究科, 助教 (30312391)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | RFID / 電磁干渉影響 / 超伝導フィルタ / 数値解析技術 / AIMD |
研究概要 |
本基盤研究課題は,高精度な数値シミュレーションによる電磁干渉影響評価法,特に植込み型医療器への干渉影響評価法を開発し,同評価法を用いて超伝導フィルタ技術を適用したミリ波帯RFID(Radio Frequency Identification)読取装置の低干渉性実証を目的としている.研究代表者らの提案によるRFID読取装置の電磁干渉影響評価プログラムを高周波数帯まで対応できるものに拡張し,ミリ波帯RFIDの植込み型医療器に対する干渉影響評価ツールを実現する.さらに,超伝導フィルタの受信系適用によるRFID 読取装置の感度上昇効果とミリ波帯電波の利用による電磁干渉影響低減効果の定量評価を実施する.本年度は,以下の項目について検討を行った. 項目1)数値解析技術を用いたRFIDシステムの電波による電磁干渉影響評価技術の開発 項目2)超伝導フィルタ適用による高感度読取装置の実現性評価 項目1)について,本課題で検討する干渉影響評価法は,RFID機器からの送信信号が被干渉機器である植込み型医療器の内部回路へ到達し生じる低周波雑音を評価することで,動作不具合の発生を推定するものである.干渉発生を判断する閾値については,研究代表者らが実施してきている複数の周波数帯の電波利用機器を用いた干渉実験結果に基づく.開発された時間領域差分法を基とする干渉評価プログラムについて,並列演算化を行い,大型計算機上で実行させるようの拡張することによりミリ波帯までの評価を可能とした. 項目2)について,超伝導デバイスを用いたマイクロ波帯送受信フィルタについてRFID 読み取り機器への適用検討を行った.基礎検討として,5GHz帯における超伝導フィルタ適用による受信感度向上効果について,報告されている実測データを用いた理論推定による見積もりを実施し,高感度化により実現できる送信信号の低出力化について明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本申請課題の最終的な目的は,大型計算機を用いた従来にない高精度な電磁干渉シミュレーションツールの開発と超伝導フィルタを適用したミリ波帯RFID読取装置の低電磁干渉性の実証である.本年度の検討では,干渉影響評価プログラムをミリ波帯(30 GHz)まで拡張することができた.さらに,超伝導フィルタの受信系適用によるRFID 装置の感度上昇効果の定量評価を実施できており,次年度の疑似アンテナを用いた実験系構築の見通しを得た.研究目標として挙げた3項目の内,1項目が達成され,残り2項目が計画通り進捗している.なお,これまでに本課題に関連して,査読付国際会議での公表2件(次年度公表決定1件含),国内の学会・研究会での公表5件があり,おおむね順調に進捗していると考える.
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の研究成果の基づき,超伝導フィルタ適用によるミリ波帯高感度RFID装置の検討およびミリ波帯RFID技術の基礎検討と干渉緩和効果の実証について検討を進める. 前年度検討した超伝導技術適用によるミリ波帯RFID装置の感度上昇効果について定量的評価を行う.また,大型計算機での実行へ拡張した電磁干渉影響評価プログラムを用いて,RFID装置の送受信条件を複数変化させた場合の電磁干渉特性についての評価を実施し,ミリ波超伝導RFID装置の有効性について明らかにする. 本基盤研究研究の目標として挙げた3項目について,最終年度にむけた課題抽出,応用可能性について検討する.
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次年度の研究費の使用計画 |
課題申請時に予定していたフィルタ試作費用について,数値シミュレーションの利用により代替できたため差額が生じた.当該の研究費は次年度以降の計算機使用料等として使用することとし,申請時の計画より詳細なシミュレーション評価を実現する. 次年度は,大型計算機使用料に加え,実験系の構築に必要な高周波部品や基盤材料等の消耗品購入を行う.さらに,アンテナ工学・通信工学関連の学会・研究会において調査・研究資料収集を行うとともに,本研究で得られた成果・知見を国際学会で発表するための旅費および投稿料の使用を予定している.
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