研究課題/領域番号 |
24560395
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
横田 浩久 茨城大学, 工学部, 准教授 (30272115)
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研究分担者 |
今井 洋 茨城大学, 工学部, 教授 (20151665)
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キーワード | フォトニック結晶ファイバ / 偏波保持光ファイバ / 光減衰器 / 長周期グレーティング / 炭酸ガスレーザ |
研究概要 |
本研究では,偏波保持フォトニック結晶ファイバ(Polarization-Maintaining Photonic Crystal Fiber: PM-PCF)の空孔径を制御することにより,光減衰器や長周期ファイバグレーティングなどの機能性ファイバデバイスを実現するとともに,これらのデバイスを光ファイバセンシングシステムに応用することを目的としている.今年度は,炭酸ガスレーザ照射を用いた空孔径制御により作製したPM-PCF光減衰器に曲げを加えることで減衰量を変化させることを試みた.空孔径制御部に曲率半径6mm程度の曲げを加えて曲げ角度を0°から30°と大きくすることで,減衰量を約10dB増加できることを実証した.また,曲げを加えた場合でも光減衰器通過による偏波保持特性劣化が生じないことも示された.PM-PCFへの長周期グレーティングの形成については,当初計画していた空孔径を周期的に縮小させる方法では損失が大きく,実用的なデバイスの作製が困難であることが分かった.そのため,炭酸ガスレーザ照射を用いたファイバの加熱溶融の際に照射レーザパワーを適切に調整することにより,空孔径を変化させることなくガラス構造変化による屈折率変化を引き起こし、屈折率変調グレーティングを形成することを試みた.予備実験として,通常のフォトニック結晶ファイバ(PCF)の長手方向に周期的に炭酸ガスレーザ光を照射することで1550nm帯に減衰ピークが得られることを確認できた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
光ファイバ減衰器の作製実験については順調に進展している.光ファイバ減衰器に関する理論研究については,光減衰のメカニズム解明が進んでおらず,デバイス作製に適したファイバ構造の設計が十分に行えていない状況である.一方,長周期グレーティング形成については,当初予定していた作製方法(空孔径制御)では損失が大きく,実用的なデバイス作製がが困難であったため,レーザ照射によるガラス構造変化を利用することを試みた.そのため,デバイス作製実験については当初の計画よりも遅れている.なお,長周期グレーティングに関する理論検討については順調に進展している.デバイス特性に対する温度・歪みの影響については,理論検討を進めているいるものの当初の計画よりも遅れている. 以上のことから,達成度は「(3) やや遅れている」と評価した.
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今後の研究の推進方策 |
理論検討においては,光減衰器における減衰メカニズムを明らかにするとともに,減衰器作製に適したファイバ構造の設計を行う.長周期グレーティングについては,ファイバのモード解析により所望の波長にて減衰ピークを得るためのグレーティング周期を明らかにする.長周期グレーティングの温度・歪み依存特性について理論的に検討を行う. 実験面では,光減衰器の特性向上を図る.偏波保持特性だけでなく,偏波依存特性も評価できるように光学特性測定系の改良を行う.長周期グレーティングの形成については,レーザ照射を用いたガラス構造変化を利用してPM-PCFにグレーティング形成を試みる.作製に最適なレーザ照射条件を求めるとともに,所望の減衰ピークを得るためのグレーティング周期およびグレーティング長を実験的に明らかにする.長周期グレーティングの温度・歪み依存特性に関する基礎実験を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
作製した光ファイバデバイスの光学特性測定系構築において,温度・歪み依存特性測定系に関する進展が遅れており,そのための物品購入が年度内に行えなかったため,次年度使用額が生じた. 光ファイバデバイスの温度・歪み依存特性測定系を構築するための物品購入に使用する予定である.
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