研究課題/領域番号 |
24560396
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
荘司 郁夫 群馬大学, 理工学研究院, 教授 (00323329)
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研究分担者 |
小山 真司 群馬大学, 理工学研究院, 助教 (70414109)
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キーワード | 樹脂実装 / パワー半導体 / 異相界面 |
研究概要 |
本研究では、電気自動車用パワーデバイスとして期待されるSiCパワー半導体モジュールの高効率・高信頼性化の鍵を握る異相(高分子樹脂/金属)界面を研究対象として、異相界面のマクロ特性出現機構を解明し、高機能相界面を創製することを目的とする。初年度(平成24年度)は、高分子樹脂そのものの物性値を調査することを目的として、ビスフェノールF型エポキシ樹脂を母材とする標準材を作製して硬化物の機械的特性を調査した。特に、充填剤(フィラー)である二酸化珪素の含有率を変化させて硬化物の機械的特性に及ぼす充填剤添加量の影響について調査した。2年目(平成25年度)は、フィラーのカップリング剤に注目し、樹脂材の機械的特性および銅との界面強度に及ぼすカップリング処理の影響を調査した。更に、光弾性法を用いたチップ内の応力分布測定にも取り組んだ。その成果として、カップリング処理により、樹脂材の弾性率および引張強度は増加傾向を示し、高温環境下において破断ひずみは減少傾向を示すことを明らかとした。また、カップリング処理によりフィラーと樹脂との界面が強化されると、フィラーの剥離が抑制されるが、ガラス転移温度以上の温度域ではその効果は低下することが明らかとなった。更に、カップリング処理は、樹脂材の緩和挙動に影響を与え、貯蔵弾性率の緩和開始時間がより長時間側にシフトすることを明らかにした。ガラスチップを銅板上に樹脂材にて接合した試料を用いて光弾性法によるチップ内の応力分布測定に取り組んだが、チップ側面に干渉縞が観察されず、当初予定した測定に至らなかった。そこで、界面強度を測定するために、銅板上に樹脂材の円柱状小突起を作製して、せん断試験を行う手法を試みた。その結果、界面強度に及ぼすカップリング処理の影響を調査できる見通しがたった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ビスフェノールF 型ジグリシジルエーテルを母材とする標準樹脂材を準備し、充填剤として、平均粒径1.98μmの二酸化珪素の球状フィラーを添加した。フィラーを添加する際にはカップリング剤として、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランを添加した。初年度(平成24年度)は、フィラー添加量を変化させた試料を作製して、樹脂材の機械的特性に及ぼすフィラー添加量の影響を調査した。その結果として、フィラー添加に伴い弾性率は増加し破断伸びは減少するが、引張強度に及ぼすフィラー添加量の影響は小さく、引張強度は母材樹脂の強度に強く依存することを明らかにした。また、粘弾性測定から、貯蔵弾性率および損失弾性率の広範囲なタイムスケールにおけるマスターカーブを算出することに成功した。その結果より、フィラー添加量の増加に伴い貯蔵弾性率および損失弾性率は増加するが、緩和挙動は母材樹脂に強く依存し、フィラーの影響は少ないことを明らかにした。 2年目(平成25年度)は、フィラーと樹脂とのカップリング効果に注目し、樹脂材の機械的特性および銅との界面強度に及ぼすカップリング処理の影響を調査した。その結果として、樹脂材の引張特性および緩和挙動に及ぼすカップリング剤の影響を明らかにすることができた。ガラスチップを用いて樹脂材がチップに及ぼす応力の測定を試みたが、チップ側面に干渉縞が現れず、当初予定していた測定はできなかった。そこで、銅板上に樹脂材の円柱状小突起を作製する手法を開発して、せん断試験により界面強度を測定する手法を試みた。その結果、界面強度の測定に成功し、界面強度に及ぼす各種処理の影響を調査できる見通しがたった。
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今後の研究の推進方策 |
初年度(平成24年度)は、本研究における標準樹脂材を作製し、その硬化物特性を調査し、機械的特性に及ぼすフィラー添加量の影響を明らかにした。2年目(平成25年度)は、フィラーのカップリング剤に注目し、樹脂材の機械的特性および銅との接合界面の界面強度に及ぼすカップリング剤の影響を調査した。また、ガラスチップを用いたチップ内の応力分布測定を試みたが、当初予定した測定には至らず、せん断試験法による界面強度測定を行った。 本年度は、本研究の最終目的である高機能相界面の創製につなげる基礎的な知見を得ることを目的として、樹脂/銅界面のマクロ特性の調査を引き続き実施する。これまでの研究により、樹脂/金属あるいは樹脂/フィラー間の界面物性が樹脂材の機械的特性に大きく影響することが明らかになっている。そこで、カップリング剤をフィラーだけではなく、樹脂/銅界面にも作用させて、界面強度への影響を調査する。同時に、樹脂材および異相界面の劣化挙動調査にも着手する。高温高湿環境下および高温疲労環境下における樹脂材および異相界面の劣化挙動を調査する。また、樹脂/銅界面の微視的構造調査も継続して実施し、界面強度に及ぼす樹脂材の物性値、微視的構造、樹脂材の官能基の働き、カップリング剤の効果を明らかにして、界面強度出現機構を調査する。
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