研究課題/領域番号 |
24560399
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
徳田 博邦 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 特命助教 (10625932)
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研究分担者 |
葛原 正明 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20377469)
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キーワード | AlGaN/GaN / heterostructure / barrier height / sheet electron density / mobility / Hall effect measurement |
研究概要 |
H24年度に、AlGaN/GaN ヘテロ接合表面に金属(Ti/Al)を堆積させ、熱処理を行うことにより電子濃度(ns)と移動度(μ)が増加することを見出した。H25年度は堆積させる金属種や膜厚を変えてnsとμの増加量を調べた。その結果、Ti/AlよりもNi/Alの方が増加量が大きいこと、また膜厚には最適値があり、Ni/Alの合計厚が350 nmの場合にμが最大値を示すことを見出した。得られたμは3000 cm2/Vsを超え、この値はAlGaN/GaN系では従来報告されている中で最大である。さらにTi/Al、Ni/Alに加え、種々の金属種について調べたところ、μの増加量は金属の熱膨張係数と強い相関があることが分かった。 一連の実験結果をもとに、AlGaN/GaNヘテロ接合に金属を堆積させて熱処理することによりnsとμが増加する機構について検討を行った。Ni/Alを熱処理すると、金属周辺でAlGaN層に強い引張り応力が生じていることがラマン散乱測定により分かった。この結果より、熱処理によりAlGaN層に引張り応力が導入され、AlGaN層が歪み、ピエゾ分極が増加するためにns、μが増加するとのモデルを提示した。 以上の結果より、本研究で最終目標としているAlGaN/GaNトランジスタの性能向上、特にソース抵抗の低減に向けての道筋をつけることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H24、25年度の研究により、堆積膜(SiO2やAl2O3)、表面処理方法、堆積金属膜などを変えてホール効果測定を行い、電子濃度と移動度がどのように変わるのかについて調べる実験はほぼ終了した。デバイス試作はまだ着手できていないが、金属種を熱処理することにより抵抗を低減させる手法を見出し、デバイスの性能を向上させる道筋をつけることができたので、順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
AlGaN/GaNヘテロ接合の表面障壁高さの制御、および金属を堆積させることにより電子濃度と移動度を増加させる手法について多くの知見を得た。この結果をもとにH26年度はデバイスの試作を行う。試作によりデバイスの性能が向上すること、特にオン抵抗が低減することを検証する。
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