研究課題/領域番号 |
24560401
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
小野 篤史 静岡大学, 電子工学研究所, 准教授 (20435639)
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キーワード | フォトダイオード / 金ナノ粒子 / 表面プラズモン |
研究概要 |
本研究目的は,次世代CMOSとして注目されているSOIデバイスに光検出器を同一基板上に実装することである.SOI上に光検出器を実装した場合,SOIが薄膜であるために光吸収効率が大幅に低減される.SOI光検出器の感度を向上させる技術を開拓するため,本研究では受光面上に金ナノ粒子を付着した新しいSOI-PINフォトダイオードを開発する. 初年度に作製デバイスをモデル化し,SOI内部の光吸収効率を計算することにより,金ナノ粒子の粒径と密度を最適化した.計算結果より,SOI膜厚100nmのフォトダイオードに対する感度向上においては,付着金ナノ粒子の粒径は140nm,金ナノ粒子配列周期は240nm(粒子密度:1.7e9 particles/cm2) がそれぞれ最適なパラメータであることが分かった.この最適パラメータをもとに,本年度は,従来よりも大きい金ナノ粒子(粒径150nm)を高密度(6.0e8 particles/cm2)に付着する技術を開発した.新技術により開発した金ナノ粒子付SOIフォトダイオードの感度特性を計測し,金ナノ粒子付着前と比較して約2倍の感度向上を実現した.得られた感度スペクトル結果の計算との整合性を示した. 本研究成果をOptical Materials Express 2014に誌上発表した.誌上発表した論文が,OSA(米国光学会)が選ぶ重要論文Spotlight on Opticsに選ばれた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
金ナノ粒子粒径と密度を最適化し,金ナノ粒子付着によるSOIフォトダイオードの光吸収効率向上メカニズムを明らかにした他,最適条件に即した金ナノ粒子付着技術を新たに開発し,実証するなど,当初の計画にはなかった研究成果を得たため.
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今後の研究の推進方策 |
金ナノ粒子周期配列手法を確立し,単一波長における感度向上の実証を目指す.
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次年度の研究費の使用計画 |
当初計画していた購入予定物品に対し,当初よりも計画以上に研究成果が得られ,より適切な物品の購入や研究成果投稿料に変更したため,当該助成金が生じた. 周期配列金ナノ粒子付SOIフォトダイオードの開発に必要となる物品の購入および,得られた成果を広く世に公表することにより,計画的かつ適切に使用する.
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