本研究目的は,次世代CMOSとして注目されているSOIデバイスに光検出器を同一基板上に実装することである.SOI光検出器の感度を大幅に向上させる技術を開拓するため,本研究では受光面上に金ナノ粒子を付着した新しいSOI-PINフォトダイオードを開発する. 初年度に作製デバイスをモデル化し,SOI内部の光吸収効率を計算することにより,金ナノ粒子の粒径と密度を最適化した.計算結果より,SOI膜厚100nmのフォトダイオードに対する感度向上においては,付着金ナノ粒子の粒径は140nm,金ナノ粒子配列周期は240nmがそれぞれ最適なパラメータであることが分かった. この最適パラメータをもとに,平成25年度は,従来よりも大きい金ナノ粒子(粒径150nm)を高密度(6.0e8 particles/cm2)に付着する技術を開発した.新技術により開発した金ナノ粒子付きSOIフォトダイオードの感度特性を計測し,金ナノ粒子付着前と比較して約2倍の感度向上を実現した. 平成26年度は,単一波長におけるSOIフォトダイオードの感度向上を目的として,周期配列した金ナノ粒子をセンサ上部に作製した.作製手法には電子線リソグラフィによるリフトオフ法を適用した.粒径180nm,周期260nmの金ナノ粒子を作製した結果,波長660nmにおいて局所的に約2.5倍の感度向上を実現した.
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