シリコン安定同位体を用いて、シリコン中のシリコン原子の動きを直接観測することで、共注入した炭素が、どのようにドーパント拡散を抑制しているかを調べた。結晶シリコン中では、炭素イオン注入によってシリコン格子間原子が過剰になっているにも関わらず、炭素共注入により不働態化したホウ素が増加するために、ホウ素拡散が抑制されることを明らかにした。一方、ゲルマニウム注入により試料をアモルファス化した場合には、炭素原子がシリコン格子位置を占め、シリコン格子間原子を捕獲するために、不純物拡散が抑制されていることを示した。この結果から、炭素共注入におけるドーパント拡散抑制のモデルを構築することができた。
|