研究課題/領域番号 |
24560421
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
柳澤 政生 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (30170781)
|
キーワード | 暗号回路 / LSI設計 / 故障利用攻撃 / 耐タンパ性 |
研究概要 |
本年度における具体的な成果のうち、主な成果を以下に示す。 “Scan-based Attack against DES and Triple DES Cryptosystems Using Scan Signatures”では、共通鍵暗号DESならびにTriple DESに対するスキャンシグネチャを用いたスキャンベース攻撃手法を提案した。提案手法では、暗号LSIに複数の平文を入力したときのスキャンデータの特定ビット列に着目し、対応するレジスタの変化を観察することで秘密鍵を解読する。提案手法では、多くても43個の平文で秘密鍵を解読するという結果が得られた。 “Scan-based Attack against Trivium Stream Cipher Independent of Scan Structure”では、スキャンチェインの構造に依存しないTriviumへのスキャンベース攻撃手法を提案した。提案手法では、1ビットレジスタ値の入力・動作サイクル数に対する変化がそのレジスタ固有の値になることを利用し、スキャンチェインの構造を求める。計算機実験の結果、高々1個の入力ペア、13サイクルでTriviumの内部状態を復元でき、元の平文を復元することができた。 “Secure Scan Design with Dynamically Configurable Connection”では、安全性とテスト容易性を両立するセキュアスキャン・アーキテクチャを提案した。提案手法では、スキャンチェインをサブチェインに分割し、サブチェイン毎に接続順を仮想的に動的に変化させる。攻撃者はサブチャインの接続順の予測が困難であるが、テスト者は接続順を予測、操作可能であることで、安全性とテスト容易性を両立させる。AES暗号回路に提案手法を実装した結果、面積オーバーヘッドが0.5%と微小なことを示した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、当初、計画していたように、「研究実績の概要」に記載したことをはじめとして、故障利用攻撃を自動検出できる暗号LSI回路の設計、その回路のシミュレーションによる性能評価、故障利用攻撃を自動修正できる暗号LSI回路設計の検討などを行うことが出来た。ただ、サイドチャネル攻撃用標準評価ボード(SASEBO)上で提案手法の実装・評価は完全に実装させることが出来ず今後の課題として残している。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、当初の計画に従い、研究を進めていく。可能ならば、研究の推進速度を速める。具体的には、以下の通りである。 1.故障利用攻撃を自動検出できる暗号LSI回路の改良 2.サイドチャネル攻撃用標準評価ボード(SASEBO)上で提案手法の実装・評価 3.故障利用攻撃を自動修正できる暗号LSI回路の設計
|
次年度の研究費の使用計画 |
学会参加費が当初の予定よりも少ない支払いで済んだことによる。 平成26年度は、故障利用解析用ソフトウェアの開発補助者への謝金を予定している。また、本研究では、一昨年度に購入した、サイドチャネル攻撃用標準評価ボード(SASEBO)を攻撃・評価プラットフォームとしている。その周辺部品等の購入のために物品費を計上している。これらの費用に充当する。
|