研究課題/領域番号 |
24560422
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
水野 智久 神奈川大学, 理学部, 教授 (60386810)
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研究分担者 |
鮫島 俊之 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30271597)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 電子デバイス / 半導体物性 / マイクロ・ナノデバイス |
研究概要 |
平成24年度の研究業績は,1))各種半導体の二次元構造の実現及びその形成法の確立,2)各種二次元半導体における量子閉じ込め効果の実証,の2つにまとめられる.以下,項目ごとに詳細を述べる. 1)二次元半導体構造の形成法の確立 SOI(silicon-on-insulator)基板を用いて,二段階酸化法により各(100)Si,(110)Si,及び(100)歪Siの二次元構造を実現できた.各種半導体膜厚Tは,格子定数より薄膜の0.5nm((100)Siにおいては0.3nm)まで実現できた.TはUV/可視光領域における反射率法により評価を行った.この評価法によるTは,透過型電子顕微鏡(TEM)法によるTともほぼ合致し,簡易な反射率法によるT評価法も確立できた. 2)各種二次元半導体における量子閉じ込め効果の実証 UV-Raman分光により,全ての二次元半導体においてフォノン波数ベクトルの不確定性原理起因のフォノン閉じ込め効果の計測に成功した.しかも,二次元Siにおいては,フォノン閉じ込め効果のSi層数依存性は結晶面方位には無関係であることも明らかにした.また,フォトルミネッセンス法(PL)により,(100)面の二次元Siにおいては,Tが1nm以下ではPL発光することも確認し,そのバンド構造が直接遷移型に変調されることも明らかにした.しかし,(110)面二次元SiにおいてはPL発光せず,依然,間接遷移型バンド構造を維持していることも判明した.以上の研究成果は,2012年国際固体素子材料学会で発表するとともに,2013年にはJpn. J. Appl. Phys.の論文掲載を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書における研究の目的,及びその研究実施計画で述べた1)二次元半導体の形成法の確立,2)二次元半導体における量子閉じ込め効果の実証,の二項目については,上記研究業績の概要において述べたように,全て達成できた.一方,研究実施計画3)における二次元半導体を用いたデバイス試作については,試作プロセス条件出しをほぼ終了し,2013年度には素子試作を完了する予定である. 従って,研究は概ね順調に進展していると思われる.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策は以下の三項目である. 1)MOSFET試作の加速と,MOSFETにおいて必須の二次元Siにおけるpn接合特性の変調効果,しきい値電圧VT変動の確認. 2)二次元Siにおける量子閉じ込め効果の詳細解析,特に,その異方性と温特による解析の推進. 3)新半導体(SiGe,SiC)の二次元構造化とその量子閉じ込め効果の実証.
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度では,MOSFET試作状況が少し遅れたため,次年度使用額が生じた.従って,当該研究費を,本格的に開始するMOSFET試作費に重点的に配分する予定である.
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