研究課題
本システムによる位置情報検出のアンテナの1つとして、右手系伝送領域と左手系伝送領域の間に存在する伝送阻止帯域のないバランス条件を満足した右手/左手系複合伝送線路漏洩波アンテナを用いる。昨年度開発した平面回路線路に基づく漏洩波アンテナではマイクロストリップ給電線との不整合による反射損失の増加が課題であったので、スタブによる整合回路を開発し、位置情報検出感度の上昇を図った。同様の問題がスタブ装荷漏洩導波管アンテナにおいても課題であったことから、励振部に新たなテーパ形状を考案し、従来のものに比べて帯域全体にわたり20dB以上の反射損失の抑制に成功した。また、これを用いて矩形導体からの検出出力の数値計算を行い、1cm角の導体面を物体とした場合、アンテナから25cmの距離で検知可能であることをレーダ方程式の基づく近似計算から示すとともに、この結果と有限要素法による電磁界シミュレータHFSSでのアンテナと物体を含む系全体の解析結果との一致を確かめることで、レーダ方程式の基づく近似計算の妥当性を裏付けた。さらに、漏洩波アンテナの試作を行い、提案変換器の有用性を反射電力の測定から検証し、本アンテナ使用の位置情報検出システムの有用性を示した。最後に昨年度開発した円形導波管による後方への漏洩放射が可能なCRLH導波管に続き、本年度は方形導波管を用いて同様の特性を有するCRLH導波管を提案した。この構造は遮断TM基本モード区間と導波管内にH型導体仕切り板を装荷した遮断TEモード区間の縦続接続したものであり、その伝送特性を明らかにした。
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