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2013 年度 実施状況報告書

大容量光伝送・光情報処理における出射ビーム制御低発振しきい値半導体レーザー

研究課題

研究課題/領域番号 24560429
研究機関立命館大学

研究代表者

沼居 貴陽  立命館大学, 理工学部, 教授 (60261351)

キーワード半導体レーザー / 横モード
研究概要

半導体レーザーの出射ビームを単峰化した状態で高出力化するために、結合光導波路を備えたリッジ型半導体レーザー,および共振器の軸方向と垂直な方向に周期的な屈折率分布をもつリッジ型半導体レーザーについて、有限要素法を用いた解析をおこなった。
平成25年度は、3次元解析と、屈折率分布の周期が段階的に変化するテーパー型屈折率分布の解析に着手する予定にしていた。xyz座標系において、3次元解析はx軸、y軸、z軸3方向の構造を対象とし、テーパー型はx軸1方向の構造を対象としている。当初の予定について方向の観点から見直すと、2方向の検討が欠落していることに思い至った。そこで、3次元のうちx軸とy軸の2方向に着目した。y軸の方向は半導体層の積層方向であり、積層方向の構造について検討したところ、特性が改善される傾向が見られたので、急遽研究テーマの優先順位を変更し、積層方向の構造の研究に注力した。
また、光導波路の幅が共振器軸の位置によってステップ状に変化するレーザーの研究にも着手した。高次横モードにおけるビームサイズの低減に着目し、回折限界よりも小さいサイズのビームサイズを実現する構造について研究した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

結合光導波路の高さをリッジよりも低くしたレーザーおよび共振器軸に垂直な方向に周期的な屈折率分布をもつレーザーでは、安定な単峰性出射ビームが得られるが,通常のリッジ型半導体レーザーよりも発振しきい電流が大きくなるという問題があり、発振しきい電流を低減することが課題となっていた。
結合光導波路の高さをリッジよりも低くしたレーザーでは、結合光導波路の材質を窒化シリコンとすることで、安定な単峰性出射ビームを維持した状態で、通常のリッジ型半導体レーザーよりも発振しきい電流が低減できることを見出した。共振器の軸方向と垂直な方向に周期的な屈折率分布を有するレーザーでは、積層方向に誘電体である窒化シリコンを付加することで、従来の単純なリッジ型半導体レーザーよりも発振しきい電流を低減できることを見出した。
研究計画の段階では、構造とビーム形状の安定性、発振しきい電流との関係を明らかにすることを目的としていたのに対し、大幅に特性を改善できる見通しを得ることができ、当初の目的以上の結果を達成したと考えられる。さらに、光導波路の幅が共振器軸の位置によってステップ状に変化するレーザーでは、高次横モードにおいて、光導波路幅のステップ状変化とビームサイズの関係について研究し、回折限界よりも小さいサイズのビームサイズが得られる見通しを得た。

今後の研究の推進方策

平成26年度は、結合光導波路の高さをリッジよりも低くしたレーザーでは、半導体層の積層方向への光の分布に着目して結合光導波路に対する光の結合を制御する構造の解析をおこなう。ビーム形状の安定性、発振しきい電流との関係を明らかにすることを目指し、平成26年度末までに傾向の把握をする。さらに、平成25年度の結果を上回る構造の創出を目指す。
共振器軸に垂直な方向に周期的な屈折率分布をもつ半導体レーザーについて、一定の周期をもつ屈折率分布だけではなく、屈折率分布の周期が段階的に変化するチャープ型について解析をおこなう。この構造において、周期数、水平方向の段差の間隔、凹部の幅、凸部の幅、凹凸の段差とビーム形状の安定性、発振しきい電流との関係を明らかにすることを目指し、平成26年度末までに傾向の把握をする。さらに、平成25年度の結果を上回る構造の創出を目指す。
光導波路の幅が共振器軸の位置によってステップ状に変化するレーザーでは、高次横モードだけでなく、基本横モードにおいて回折限界よりも小さいサイズのビームサイズを得ることを目指す。また、エバネッセント光を効率よく出射するための半導体レーザーとして、平成26年度末までに、光導波路の角度とエバネッセント光の浸み出し、発振しきい電流との関係の傾向を把握する。

次年度の研究費の使用計画

平成25年度に未使用額11888円が生じた。この理由は、2013年第74回応用物理学会秋季学術講演会の初日に台風のためにJR東海道本線(琵琶湖線)が運休し、学会に参加できなかったことによる。
平成26年度は未使用額11888円を組み込んだ予算を全額使用する。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (6件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Simulation of a Ridge-Type Semiconductor Laser with Horizontal Coupling of Lateral Modes2014

    • 著者名/発表者名
      Guowei Chai and Takahiro Numai
    • 雑誌名

      Optical and Quantum Electronics

      巻: 46 ページ: 1217-1223

    • DOI

      10.1007/s11082-013-9821-y

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Simulation of a Ridge-Type Semiconductor Laser for Separate Confinement of Horizontal Transverse Modes and Carriers2013

    • 著者名/発表者名
      H. Kato, H. Yoshida, and T. Numai
    • 雑誌名

      Opt. Quantum Electron

      巻: 45 ページ: 573-579

    • DOI

      10.1007/s11082-012-9620-x

    • 査読あり
  • [学会発表] Symmetric Ridge-type Semiconductor Laser with Selectively Formed Double-Sided Antiguiding Cladding Layers

    • 著者名/発表者名
      D. Katsuragawa and T. Numai
    • 学会等名
      Progress In Electromagnetics Research Symposium (PIERS 2013 in Stockholm)
    • 発表場所
      Stockholm, Sweden
  • [学会発表] Simulation of a Ridge-Type Semiconductor Laser with Horizontal Coupling of Lateral Modes

    • 著者名/発表者名
      G. Chai and T. Numai
    • 学会等名
      13th International Conference on Numerical Simulation of Optoelectronic Devices (NUSOD 2013)
    • 発表場所
      University of British Columbia, Vancouver, Canada
  • [学会発表] 選択的絶縁体反導波クラッド層を設けた非対称リッジ型半導体レーザーにおける低しきい値・キンクフリー発振

    • 著者名/発表者名
      大島光則,沼居貴陽
    • 学会等名
      2013年第74回応用物理学会秋季学術講演会
    • 発表場所
      同志社大学京田辺キャンパス(京都府)
  • [学会発表] 横方向回折格子を設けたリッジ型半導体レーザーにおけるレーザー特性と横方向回折格子の次数との関係

    • 著者名/発表者名
      平崎琢也,沼居貴陽
    • 学会等名
      2013年第74回応用物理学会秋季学術講演会
    • 発表場所
      同志社大学京田辺キャンパス(京都府)
  • [学会発表] 選択的絶縁体クラッド層を有する非対称リッジ型半導体レーザー

    • 著者名/発表者名
      大島光則,沼居貴陽
    • 学会等名
      2014年第61回応用物理学会春季学術講演会
    • 発表場所
      青山学院大学相模原キャンパス(神奈川県)
  • [学会発表] 横方向回折格子と選択的絶縁体クラッド層を有するリッジ型半導体レーザー―回折格子次数依存性―

    • 著者名/発表者名
      平崎琢也,沼居貴陽
    • 学会等名
      2014年第61回応用物理学会春季学術講演会
    • 発表場所
      青山学院大学相模原キャンパス(神奈川県)
  • [図書] 大学生のための量子力学演習2013

    • 著者名/発表者名
      沼居貴陽
    • 総ページ数
      243
    • 出版者
      共立出版

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公開日: 2015-05-28  

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