半導体レーザーの出射ビームを単峰化した状態で高光出力化するとともに発振しきい電流を低減することを目的として、結合光導波路を備えたリッジ型半導体レーザー、選択的絶縁体クラッド層を有するリッジ型半導体レーザー、および共振器の軸方向と垂直な方向に周期的な屈折率分布をもつリッジ型半導体レーザーについて、有限要素法を用いた解析をおこなった。
平成26年度は、結合光導波路を備えたリッジ型半導体レーザーにおいて、結合光導波路の材質を半導体から誘電体に変更することで結合光導波路へのリーク電流を低減した。さらに結合光導波路とメサとの距離をゼロにすることで選択的絶縁体クラッド層を有するリッジ型半導体レーザーの着想につながった。この結果、単峰出射ビーム、高光出力を維持した状態で通常のリッジ型半導体レーザーよりも発振しきい電流を低減することができた。
共振器の軸方向と垂直な方向に周期的な屈折率分布をもつリッジ型半導体レーザーでは、横方向回折格子によって周期的な屈折率分布を実現しているが、この横方向回折格子へのリーク電流によって発振しきい電流が増加していることが判明した。そこで、横方向回折格子の上部を絶縁体にすることで、単峰出射ビーム、高光出力を維持した状態で通常のリッジ型半導体レーザーよりも発振しきい電流を低減することができた。
|