研究課題/領域番号 |
24560431
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 仙台高等専門学校 |
研究代表者 |
宮城 光信 仙台高等専門学校, その他部局等, 名誉教授 (90006263)
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研究分担者 |
岩井 克全 仙台高等専門学校, その他部局等, 准教授 (10361130)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 中空ファイバ / 赤外レーザ光 / 先端機能デバイス / レーザ治療 |
研究概要 |
赤外レーザ光を用いる胃のポリープ除去治療では、胃壁表面の水分に吸収されてレーザ光が弱まるため、大きなレーザパワーが必要であり、また胃の上部治療のためには半径15 mmの曲げに耐える伝送路が要求される。しかし、現存の伝送路では対応できない。本研究では、この目的も含め、体を全く傷つけず、従来にない新規な「無侵襲」治療を実現するために、低出力でも優れた切開能力を有するEr:YAGレーザ光と、止血能力のある高出力CO2レーザ光を同時伝送可能な光学膜内装銀中空ファイバの導入を提案し、太径(内径0.7 mm)でも急峻に曲げることのできる、従来にない無侵襲志向の内視鏡用高機能・高強度中空ファイバシステムの実現を目的とする。 平成24年度は、高強度用ポリイミド膜外装中空ファイバ先端素子の製作と評価を行った。内径0.7 mm、長さ50cmの石英ガラスキャピラリーチューブに銀薄膜を内装し、曲げ強度特性を上げるための高強度用ポリイミド膜を外装した中空ファイバ先端素子の製作を行い、その評価を行った。具体的な手段、方法およびその内容は次のとおりである。(1)高強度用最適ポリイミド溶液の選択として、ガラスキャピラリとの付着力、耐久性、耐熱性の観点からポリイミド溶液HCI-9000(日立化成製)を選択した。(2)高強度用ポリイミド外装膜のコーティング技術の開発として、簡易なディッピング法を用いた高強度ポリイミド膜の成膜技術を確立した。また高強度化に有効な保護膜の厚さは約20 μmであった。(3)高強度用ポリイミド膜外装中空ファイバ先端素子の評価を行った。曲げ半径15 mm、曲げ角270°で、曲げ回数200回の曲げ強度試験を行った結果、高強度中空ファイバは破断しなかった。曲げ試験後に可視~近赤外波長損失特性の測定を行い、伝送損失は約0.2 dB増加したが、十分に使用に耐えうることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本申請では、高強度ポリイミド膜が外装されている中空ファイバを用い、高出力赤外レーザ複合光(CO2レーザ光+Er:YAGレーザ光)伝送機能を有する無侵襲用内視鏡用中空ファイバシステムを開発する。平成24年度の技術課題は太い径のファイバで、曲げ半径15 mm、曲げ角270度を可能とする伝送路を製作するためのポリイミド外装膜の成膜技術であり、達成すべき数値レベルは以下の通りである。 (1)高強度中空ファイバ用外装膜材料は高強度ポリイミドとする。 (2)高強度中空ファイバは、曲げ角270度、曲げ半径15 mmで使用可能とする。 ポリイミド溶液は、当初、1回のコーティングで約0.1μmの膜厚を成膜可能と想定しており、保護膜厚として有効な膜厚までは、数十回のコーティング工程を計画していたが、ポリイミド溶液HCI-9000(日立化成製)は、1回のコーティングで約20μmの厚さの保護膜を成膜することができると分かり、高強度中空ファイバの製作は当初の計画以上に進展した。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の計画として、高強度用ポリイミド膜外装中空ファイバの製作と評価を行う。平成24年度の研究成果を基に、ポリイミド膜外装中空ファイバの長尺化を図る。具体的な手段、方法およびその内容は下記のとおりである。 (1) 高強度用ポリイミド膜外装中空ファイバのコーティング技術の開発を行う。中空ファイバ(目標長さ1~2m)に対して簡易な高強度用ポリイミド外装膜のコーティング技術を確立する。送液速度、乾燥条件など成膜条件を明らかにする。 (2) 高強度用ポリイミド膜外装中空ファイバの評価を行う。可視~近赤外波長損失特性の測定と、曲げ角270度、曲げ半径15 mmの曲げ条件で、曲げ強度試験を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
「該当なし」
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