研究課題/領域番号 |
24560439
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
小原 仁 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50344768)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | インターネット / 回線品質 / アクティブ計測 / パケット分散 / 可用帯域 |
研究概要 |
本年度は本研究プロジェクトの1年目であり,下記の3項目の課題の検討を開始した。 (1)インターネット回線の常時モニタを可能とするパケットペア方式の設計:本研究では最小のプローブパケット量で回線品質の常時モニタを可能とするため,2組のパケットペアを周期的に送受信する方式を提案する。この方式は筆者らが従来提案してきたプローブトレインペア方式に必要なプローブ量を最小限度に抑えた極限の方式である。今年度はシミュレーションによる動作確認と基本的な性能評価を行うため,ネットワークシミュレータ(ns2)によるモデルを作成した。 (2)ネットワークプロセッサを用いたプローブパケット送受信回路の検討:本研究における提案方式はプローブパケットの時間間隔(パケット分散)を計測し,その値を用いて可用帯域などを推定する。このため,正確な時間間隔でのパケット発生と受信パケットの到着時刻の計測が必要となる。本研究ではこれらの機能をパケットプロセッサで実現することを目的に開発セットを購入して設計環境を整備した。 (3)ソフトウェアによる測定ツールの開発:我々の研究グループが独自に提案してきたパケットトレインペア方式については,従来,シミュレーションを基に検討を進めてきた。本年度はその実現性と問題点を検証するため,PC上にCプログラムで測定ツールを開発し,直線状の簡単な実験ネットワークを構築して動作確認を行った。従来,公開されている既存の測定ツールとの性能比較を行い,提案方式の有効性を確認した。なお,この測定ツールは上記の(2)で新規に開発する測定回路との性能比較のためリファレンスともなっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
インターネットの回線品質の常時モニタを可能とする新たな方式を提案し,シミュレーションで動作確認ができた。パケットプロセッサを用いたプローブパケットの送受信回路の開発環境を準備することができた。PC上にプログラム制御の測定ツールを実装し,従来技術より優れた性能を確認できた。以上の3項目の達成度から順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は前記のそれぞれの検討課題について,機能の追加や実用的な条件を考慮した詳細な評価を行って設計にフィードバックする。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は,前年度よりさらに規模の大きい実験ネットワークを構築して性能評価実験を行う。このために必要となるルータやトラヒック発生装置およびトラヒックモニタ装置(いずれもPCベース)などの設備を新規に購入する。また,最新の技術情報収集と,前年度の成果のアピールのため学会の大会,研究会,国際会議などに参加し,論文投稿についても検討する。
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