近年,インターネットにおける通信品質の制御および監視のための技術開発が世界的に注目されている。その品質と最も深く関係するend-to-end回線の可用帯域とリンク容量を推定する従来の測定技術は多数回の測定を要し,試験パケット量が増えるとともに測定誤差が大きいなどの問題があった。本研究は,速度の異なる2つの試験パケットを送信し,受信点での試験パケットの時間分散を直線近似することで可用帯域とリンク容量の同時推定を可能とする新たな測定方式を提案した。また,可用帯域およびリンク容量の推定誤差を最小とする最適な測定条件を明らかにした。提案方式をCプログラムで記述してPCに実装し,最大10リンクの試験ネットワークを構築して性能を実測した。従来の代表的な測定技術であるDietToppと比較し,測定誤差は最大で50分の1以下,試験パケット量は最大で4分の1以下にすることができた。ただし,提案方式の測定値の変動係数は10倍程度に増えた。これらの結果より,本提案手法の有効性を確認し,今後の検討課題を明確にした。
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