研究課題/領域番号 |
24560440
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
羽渕 裕真 茨城大学, 工学部, 教授 (90241744)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 高度交通システム / 路車間通信 / 車車間通信 / 光無線通信 / 階層化変調法 / 疑似雑音符号 / コードシフトキーイング / コード数キーイング |
研究概要 |
本研究は、情報通信ネットワークと交通ネットワークを統合する高度交通システムにおける路車間・車車間統合通信システムに着目する。特に、路側に設置された基地局からの配信法として“階層型変調を用いる光ワイヤレス・可視光多値変調方式”、その配信情報の取得失敗時の対処法として車車間通信による“多値変調型ランダムアクセス方式”からなる光/電波融合型通信システムの高信頼化・高品質化の実現を目指す。平成24年度は、『情報配信検討段階』にあり、光無線通信における階層化変調法を中心に検討した。 (1)通信信頼性を向上するには、誤り率性能を向上させることと情報の格付けやメディア毎に適した情報伝送を行うことが考えられる。24年度は後者に着目し、疑似雑音(PN)符号を用いる光階層化変調法を考案した。特に、2種類の性質の異なる変調法(信号パターンによる方法(第1変調法)と信号電力による方法(第2変調法))を融合することにより構築し、3つの基本方式を提示した。コードシフトキーイング(CSK)と振幅シフトキーイング(ASK)を融合した方式、CSKとコード数キーイング(CNK)を融合した方式、マルチパルス・パルス位置変調(MPPM)とCNKを融合した方式を考案した。 (2)光階層化変調法の誤り率性能の理論式を導出した。その結果、同期状態における誤り率では、第1変調法が第2変調法よりも良好な特性を示した。受信同期誤差がある場合では、第1変調法の誤り率は大きく劣化し、第2変調法の誤り率はわずかであるが第1変調法よりも良好である。そのため、通信距離が長くなるなどにより同期誤差が生じても情報の一部を伝達できる可能性があることが分かった。 (3)光CSKで利用するためのPN符号を考案した。これまでの光PN符号では、符号長Lに対して√L個の符号しか利用できなかった。本研究では、符号長Lに対してL個の符号の利用を可能にした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は本研究の『情報配信検討段階』である。情報配信システムとして光無線通信システムを利用した場合について検討し、光階層化変調法を中心に検討した。その結果、新しいシステムの考案とそれに利用する新しい疑似雑音符号の設計を行った。それらの成果は、国際会議論文7件(査読付き)と国内研究会8件にて発表した。そのため、『(2)おおむね順調に進展している』と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は以下の3点について研究を行う。システム性能は申請設備を利用し、理論解析、計算機シミュレーション、簡易実験により検討する。その成果は、国際会議や国内研究会にて発表し、その質疑や聴衆者の反応を基に学術論文へ昇華させる。 (1)24年度の成果を基にさらに『情報配信法』を洗練させる。特に、考案した要素技術の効果について、理論解析および計算機シミュレーションにより明らかにする。 (2)『高品質・高信頼化法』を検討する。特に、(a)配信基地局の観点からターボ符号や低密度パリティチェック符号のような誤り訂正符号の光ワイヤレス・可視光通信への適用可能性を検討する。(b)ユーザ局の観点からブロードキャストを基にする変形2進カウントダウン方式やネットワーク負荷分散法のアクセス制御法を検討する。(c)情報改ざんおよび偽情報流布の対策を検討する。 (3)『情報配信法とロスパケット補完法』を検討する。配信情報取得失敗時の対処法について検討する。近隣ユーザからロスパケットを中継して補完するロスパケット補完法において、他ユーザからの信号を遅延波とみなしてRAKE合成して信号受信性能を向上するとともに多数決的に真情報を判定する方法を検討する。さらに、情報配信法とロスパケット補完法との最適融合設計を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の請求額と合算し、ソフトウェア(Matlab)の購入費用に充てる
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