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2013 年度 実施状況報告書

人体周辺電波利用機器安全評価のためのハイブリッドシミュレータの開発

研究課題

研究課題/領域番号 24560441
研究機関東京農工大学

研究代表者

宇野 亨  東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80176718)

研究分担者 有馬 卓司  東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20361743)
キーワード電磁界 / アンテナ / FDTD法 / モーメント法 / 人体 / シミュレーション
研究概要

平成25年度は,本研究の核となる,ア) シミュレータの統合技術およびその実証,イ)回路解析と電磁界のハイブリッド解析法,についてシミュレーションおよび実験を行い,研究課題遂行に向けいくつかの知見を得た.ア)およびイ)それぞれの項目に対して得られた知見を示す.
ア) については,本研究で特に対象とした人体の解析に有効なシミュレータ技術の開発を行った.これまでのシミュレータでは,人体を高精度に解析するには非常に多くの計算機資源を必要としていた.この理由は,コンピュータ上でモデル化する際に単位構造を組み合わせてモデル化するが,非常に複雑な人体構造をコンピュータ上でモデル化するにはごく細かな単位構造が必要となるためである.また,ごく細かな単位構造を用いると計算結果が妥当な値に収束するまでに多くの時間が必要となっていた.この問題に対し,収束していない結果を基に収束値を予想するシミュレーション手法を,電磁界解析手法と統合した.その有効性を実験値等と比較し確かめた.有効性においては,予測する手法を組み込まない時と比べ条件により,計算時間が数十分の一程度まで高速化できることを示した.
イ) については,理論的考察を中心に研究を遂行した.回路の特性方程式は有利関数であらわされる.そこで,電磁界解析手法に有利関数を統合する手法について基礎検討を行った.この手法では,特性方程式を入力と出力の比で表すものである.本研究では,電磁界解析で重要であるアンテナの給電部に回路が組み込まれることを想定して,アンテナの入力電圧,アンテナ給電部の電流をそれぞれ特性法的式の入力と出力として,特性方程式にする手法の開発を行った.このため,そのまま回路問題に応用できる.有効性はシミュレーションにより確認した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の目的は,人体周辺で使用される電波機器の安全性評価のためのシミュレータの開発である.研究遂行の核となるのは,個々のシミュレータ技術の開発とそれらを融合する技術であり,それらに関する一連の研究を行った.
本年度は,研究課題の目的達成のために,特に人体モデルを意識して,シミュレータの開発を行った.人体は損失性誘電体としてモデル化されるので,損失性モデルに対してより正確でより高速な手法の開発を行った.開発したシミュレータは業績の概要にも示しているように,従来の手法に収束した時の値を予測する手法を組み合わせることにより,計算時間の大幅な短縮を可能にした.この時の評価指標としては,人体に吸収される電力,人体近傍におかれたアンテナの特性であったが,すべての解析において高速化を達成した.また,アンテナの給電部に回路が装荷されているモデルを電磁界解析手法と統一的に解析できる手法の基礎検討を行った.回路は特性方程式であらわされることに着目し,特性方程式を電磁界解析で統一的に解析する手法の開発を行った.その有効性をシミュレーションを通して確認した.また,この手法はそのまま回路解析に応用できる.
以上より本年度までの成果を研究計画と照らし合わせると,研究は順調に進展していると言える.

今後の研究の推進方策

研究計画の最終年度となる平成26年度は,課題遂行に向けて ア)安全評価統合シミュレータの開発,イ)研究統括 を行う.詳細を下記に示す.
ア)においては,前年までで得られた,個々のシミュレータ技術とそれらを融合する技術を駆使して,シミュレータを完成させる.ターゲットとする解析対象は,詳細な人体モデル近傍におかれた,給電回路系を含むアンテナである.人体モデルは標準的な体形の日本人男性を5mm角で忠実にモデル化したものを用いる予定である.これらのシミュレーションには大型計算機(東北大学設置SX-9:課金制)を用いる予定である.また,開発するシミュレータが,想定通りの性能を示さない際は,国内外の研究者と連絡を密にとり議論を行こない,有効な方法を模索し状況を打開する.また,解析する指標としては,人体に吸収される電力,アンテナの入力インピーダンス,アンテナの放射指向性,アンテナの効率を基本とし,その他必要な指標があれば適宜追加する.また,シミュレータの特徴を詳しく調べより高機能なシミュレータの開発を行う.
イ)においては,3年間で得られた知見の統括を行い,より良いシミュレータを完成させる.

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2014 2013

すべて 学会発表 (7件)

  • [学会発表] 自己回帰移動平均モデルを用いたMHz帯のFDTD解析2014

    • 著者名/発表者名
      桑原健太,宇野亨,有馬卓司
    • 学会等名
      電子情報通信学会ソサイエティ大会
    • 発表場所
      新潟県新潟市・新潟大学
    • 年月日
      20140318-20140321
  • [学会発表] An Efficient Edge Structure of Finite Size EBG Structure2014

    • 著者名/発表者名
      Takuji Arima, Yugo Tanno and Toru Uno
    • 学会等名
      Vetnam-Japan International Symposium on Antennas and Propagation
    • 発表場所
      ベトナムハノイ市・ Le Quy Don Technical University
    • 年月日
      20140108-20140110
  • [学会発表] 細線近似モーメント法を用いたダイポールアンテナ解析における不等間隔分割法の解の収束性について2013

    • 著者名/発表者名
      荒畑早希,宇野亨,有馬卓司
    • 学会等名
      電子通信学会ソサイエティ大会
    • 発表場所
      福岡県福岡市・福岡工業大学
    • 年月日
      20130917-20130920
  • [学会発表] 人体ばく露評価用ワイヤレス伝送システムの近傍電磁界測定2013

    • 著者名/発表者名
      青木悠平,チャカロタイ・ジェドヴィスノブ,和氣加奈子,藤井勝巳,有馬卓司,渡辺惣一,宇野亨
    • 学会等名
      電子情報通信学会ソサイエティ大会
    • 発表場所
      福岡県福岡市・福岡工業大学
    • 年月日
      20130917-20130920
  • [学会発表] FDTD法を用いた周期構造体の斜め入射散乱解析2013

    • 著者名/発表者名
      小川和来,有馬卓司,櫛山裕次郎,宇野亨
    • 学会等名
      電子情報通信学会アンテナ・伝播研究会
    • 発表場所
      北海道函館市・サンヒフレ函館
    • 年月日
      20130613-20130614
  • [学会発表] FDTD Analysis of Induced Current of PEC Wire which in contact with Half Space Lossy Ground by using Surface Impedance Boundary Condition2013

    • 著者名/発表者名
      Takuji Arima and Toru Uno
    • 学会等名
      International Symposium on Electromagnetic Theory
    • 発表場所
      広島県広島市・International Conference Center Hiroshima
    • 年月日
      20130520-20130524
  • [学会発表] FDTD法におけるインピーダンス境界を用いた簡易型吸収境界条件について2013

    • 著者名/発表者名
      有馬卓司,宇野亨
    • 学会等名
      電子情報通信学会アンテナ・伝播研究会
    • 発表場所
      大分県別府市・別府国際コンベンションセンター
    • 年月日
      20130516-20130517

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公開日: 2015-05-28  

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