結合共振型無線電力伝送には、パワーエレクトロニクス技術を背景に、1次側と2次側が離れたトランスとして扱うもの、マイクロ波技術を背景に、マイクロ波フィルターや方向性結合器として扱うもの、アンテナ技術を背景に、近傍界領域におけるアンテナの結合として扱うものなどがある。一方、結合共振型無線電力伝送の本質の理解のためには、これらの方式を包含して説明できるモデルの構築が有用である。 当該年度の研究では、結合共振型無線電力伝送システムを、空間に電磁界を発生させ、結合に寄与する部分とそうでない部分に分離した上で、さらに結合を電界結合と磁界結合に分解することで、結合と共振のメカニズムを、統一的に説明できる理論モデルを構築した。このモデルにより、トランスとして扱う方式も、アンテナとして扱う方式も、同じ理論により説明できるようになった。 さらに、このモデルを用いて、トランスとして磁界結合のみを用いる方式と、アンテナとして電界結合と磁界結合の両方を用いた場合の違いを定量的に検討した。
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