研究課題/領域番号 |
24560455
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
上原 秀幸 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00293754)
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キーワード | マルチホップ通信 / 無線アクセス方式 / スマートアンテナ / 高度道路交通システム / ルーティング |
研究概要 |
本研究では、方向・指向性をキーワードに、物理層(アンテナ)、データリンク層(無線アクセス制御)、ネットワーク層(経路制御)の各要素技術とそれらの高度な融合により、有限な無線資源を有効活用できる通信制御方式とその実証機であるテストベッドの開発を目的としている。同時に、快適な車のネットワーク化を実現するために車々間・路車間通信へ応用することを目指している。今年度は、初年度に開発検討した可変指向性アンテナの搭載を想定したメディアアクセス制御方式の研究開発とテストベッドの開発を中心に進めた。まず、指向性メディアアクセス制御方式における通信開始時の制御信号(RTS/CTS)の交換に成功した場合、複数のパケットを連続してバースト伝送できる機構を搭載した。これにより、難聴問題と冗長なリスニング期間を抑制してスループットの向上を図ることができた。次に、RTS/CTS交換に失敗した際の再送手順も検討した。通信方向に着目し、直前に通信成功したノードの方向へ優先的に再送する方法(SDP法)とRTS送信回数が少ないノードの方向へ優先的に再送する方法(MRP法)を考案し、パケット発生時刻に基づいて再送する従来の方法と比べて、スループットが改善されることを示した。さらに、指向性アンテナと全方位性アンテナをもつノードが混在した場合の課題について検討し、不必要に長く通信が抑制される問題が発生することを明らかにした。これをReceiver-Blocking問題と命名し、簡易な改善手法を示した。また、USRP/GNU Radioを用いたソフトウェア無線によるテストベッドの開発を進めた。我々がこれまでに開発したルーティングプロトコルであるDORPを実装し、電波暗室内で4ノードでの動作確認実験を行った。AODVと経路切替時間を比較し、所望の特性が得られていることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
車車間環境を想定した指向性メディアアクセス制御方式の課題を解決し、新たな改善手法を開発できた。さらに、ルーティング方式を実装したテストベッドを開発し動作検証できた。これらの成果は学会発表されている。一方で、当初予定してたヌル制御方式は期待通りの特性が十分に得られておらず、さらなる改良が必要である。また、テストベッドには開発したメディアアクセス制御方式はまだ実装されておらず、次年度への宿題となった。以上のことから、いくつかの課題は残されているものの概ね計画通りに遂行していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度であり、テストベッドの屋外実験に集中して取り組む予定である。そのためにまず特定試験実験局の申請を行う。開発したメディアアクセス制御方式を実装し、様々なトポロジーでの動作検証実験を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
屋外実験用の装置の仕様を見直し部品の購入を慎重に行うようにしたことや、成果発表の回数や場所に変更が生じたため。 必要な実験装置の部品を適宜購入し、成果を発表する。
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