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2013 年度 実施状況報告書

ローカルエリアパワーネットワークのための回路モデルの構築

研究課題

研究課題/領域番号 24560456
研究機関京都大学

研究代表者

久門 尚史  京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80301240)

キーワード電力 / 回路モデル / テレゲンの定理 / 同期 / エネルギー
研究概要

電磁現象におけるエネルギーの流れは,よくポインティングベクトルを用いて表現されるが,その場合は電磁場が伝搬する空間においてエネルギーを考えるモデルになる.一方,回路におけるエネルギーの流れは電圧と電流の積で表現されるが,回路的な表現は電磁ポテンシャルによる表現とも考えられる.電磁ポテンシャルを用いて表現した場合は,導体上の電流や電荷に基づいて流れを定義するため,導体上のみを考えることによりエネルギーの流れが考えられる.単導体素子上の電流伝搬に基づいて単純なモデルで考えることにより,電磁ポテンシャルによる表現と,回路表現の対応,ポインティングベクトルによる方法の対応を明らかにした.
スイッチング回路のモデリングに関しては,双方向のAC-DC変換器を対象にして,そのモデル化を行った.回路モデルとして等価回路で表現した場合にDC側をノートン等価回路,AC側をテブナン等価回路として表現することが妥当であり,その理想電圧源と理想電流の関係式おいて,スイッチング損失を表す係数を入れるとマクロモデルとして表現可能なことを示した.また,実際に双方向AC-DCコンバータの試作を行い,実測データとモデルの比較により,モデルの妥当性を検証した.
一般化したテレゲンの定理に関しては,回路における異常現象の検出への応用可能性について検討を行なった.テレゲンの定理に基づいてポートにおける電力フローを考えることにより,種々の特徴をもったエネルギーの流れを抽出できることが明らかになった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Maxwell方程式に立ち戻ってエネルギーの流れを考え、そこからモデルを構築するという目的に対して,エネルギーの流れを電磁ポテンシャルで表現し,それに基づいてポインティングベクトルによる扱いや回路における電力フローとの対応を明らかにできたことにより,電力伝送のモデルとしては順調に進んでいると言える.電磁ポテンシャルによる表現は,回路表現との親和性があり,導体における物理量に基づいてエネルギーの流れの表現が可能になる.また,このモデルにおいて,伝搬する電流と線電荷密度のペアで考えることにより,干渉の無い形のエネルギーの流れを導出することが可能になることを示した.また,このモデルにより,ポートの電力がスカラーポテンシャルと電流の積で表現できることが明確化できた.
スイッチング電源のモデルに関しては,双方向AC-DCコンバータをターゲットにして電力の流れの明確化を行った.双方向AC-DCコンバータをモデル化できれば,各種DC-DCコンバータのモデル化も可能になるため,妥当な対象と考えられる.また,モデル化においてはポート(カットセット)電力を電圧と電流の積で表現し,そこにテブナン・ノートンの等価電源を用いることにより電力の流れの表現を行った.特に,テブナンの等価電源とノートンの等価電源を結ぶ部分において,スイッチング損失を入れるモデルは電力の流れを表現する新しいモデルが提案できたと言える.
テレゲンの定理に基づく考察に関しては,電力フローという立場から従来の瞬時電力,複素電力,平均電力のモデルの意味を考えなおすことにより,それぞれの意味について明らかにできたことは,今後の拡張テレゲンの定理への基礎固めとして重要であったと言える.

今後の研究の推進方策

電磁ポテンシャルを用いたエネルギーの流れの表現に対して,散乱行列に類似した扱いを行うことにより,エネルギーの流れをモデル化することを考える.これにより,Maxwell方程式に基づいたエネルギーの流れと電気回路におけるエネルギーの流れを橋渡しすることができると考えられる.また,その時にに伝搬モードとしての電力フローと集中回路におけるモードに関して整理することにより,散乱行列の位置づけを明確化することを試みる.
双方向AC-DCコンバータのモデル化に関しては,そのモデルを生かした電力伝送の手法について検討を行う.つまり,テブナンの等価電圧源とノートンの等価電流源を生かすことにより,ローカルエリアパワーネットワークの電圧や周波数を維持しながら電力を伝送する手法の検討を行なう.制御にあたってては,散乱行列による表現も生かす形で導入する予定である.
また,実際に双方向AC-DCコンバータを用いてローカルエリアパワーネットワークを構成することにより,提案手法の妥当性に関して,検討を行う.
テレゲンの定理に関しては,これまで検討を行った基礎的な電力だけでなく,一般化テレゲンの定理の枠組みによる一般化された電力を考えることにより,電力のフローを明確化する手法について検討を行なう.

次年度の研究費の使用計画

予定より実験の必要部品が安く入手できたため。
次年度の実験用部品の購入に充当。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 伝搬電流モデルにおける電磁ポテンシャルを用いた電力フローの表現2014

    • 著者名/発表者名
      久門尚史、萩原明、和田修己
    • 学会等名
      電子情報通信学会 マイクロ波研究会
    • 発表場所
      同志社大学
    • 年月日
      20140522-20140523

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公開日: 2015-05-28  

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