通信の効率化を目指すネットワーク符号化において、線形誤り訂正符号を用いて、冗長性をもたせたデータ伝送により信頼性向上を行う場合の性能(誤り特性)解析手法の確率を目指して研究を実施した。1.性能評価に重要な役割を果たす結合重み分布計算アルゴリズムの開発と効率的な実現に関して以下のことを行った。アルゴリズムに関してはトレリス構造を用いて計算時間を短縮する方法を中心にいくつかのアルゴリズムを開発した。そして、GPUを用いた実現や通常のCPUを用いた実現を行った。最終年度には、2つの符号の結合重み分布について、符号のトレリス構造を用いた計算アルゴリズムにおいて共通化できる部分符号語の対の結合重みの計算の削減を実現した。なお、このアルゴリズム自体がすべての符号について十分効果があるわけではないため、これまでに実現したアルゴリズムおよび本アルゴリズムの実現について詳細に高速化を行った。2.結合重みを用いた性能評価法に関して以下のことを行った。いくつかの性能評価法として復号誤り率や正しく復号する確率の評価式を導出した。最終年度には、より詳細な結合重みを用いた性能評価法について検討した。具体的には最尤復号法や限界距離復号法を対象とし、復号誤り確率のより精密な評価式を導出した。これらに加えて、ネットワーク符号化における誤り制御システムにおいて、中継ノードで誤り訂正を行う場合の全体での復号誤り確率の評価法についても最終年度に検討を行った。これらを通じて、ネットワーク符号化における線形符号による誤り訂正の性能評価の基盤として重要な結合重み分布を用いた性能解析に関して、基礎的な解析方法が整ったと言える。
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