研究課題/領域番号 |
24560459
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
飯國 洋二 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (80168054)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ハウリング / パイロット信号 / くし型フィルタ / 距離測定 / 分数遅延 |
研究概要 |
1.距離推定に使用するパイロット信号の検討 可聴域の信号エネルギーを小さくするとともに,パイロット送受信信号の相関の尖度を大きくするようなパイロット信号を設計した.具体的には,異なる2つの周波数からなる超音波信号を位相反転をしながら接続することで,パイロット信号としての性能が向上することを理論的に明らかにした.ついで,こうして求めたパイロット信号を用いて,スピーカ・マイクロホン間の距離を実測した.その際,パイロット送受信信号の実測値と理論値の誤差を測定し,その推定誤差が距離推定値にどのような影響を与えるかを検討した.距離推定精度を評価する際は,環境雑音の影響を極力抑え,またパイロット信号の直接波のみをマイクで抽出できるように,マイク・スピーカ間の距離を固定した.研究初期段階であることから,処理アルゴリズムの計算にはパーソナルコンピュータを用いた. 2.ハウリング周波数の推定とくし形フィルタの設計 上で求めた距離情報に基づいてハウリング基本周波数を推定した.そして,推定した基本周波数を整数倍することで,高調波の周波数を決定した.ついで,ハウリング基本周波数がくし形フィルタの基本周波数に一致するように,くし形フィルタの遅延量を設定した.こうして得られた遅延量は必ずしも整数値になるとは限らない.そこで,オールパスフィルタを利用することで分数遅延を持つくし形フィルタを近似実現した.この近似フィルタを使用したことによって生じる近似誤差が,距離推定値に与える影響をコンピュータ実験で数値的に評価した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計算が複雑であることから,評価関数を最小にするような最適なパイロット信号をリアルタイムで計算することができなかった.しかしながら,経験的な方法ではあるが,実用上問題のないほど高精度に距離を推定できるパイロット信号を設計することができた.また,分数遅延を持つくし形フィルタを設計することで高精度にハウリング周波数を推定することができた.
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今後の研究の推進方策 |
研究を実施していた博士課程学生が卒業したことにより,これまでほど密接に連絡をとることができないことが予想される.そこで,研究の進捗に遅れが生じないように,スカイプ等を利用して議論をする予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
研究を実施していた博士課程学生が急遽卒業することになったため.年度末に研究成果を発表することができなかった.しかしながら,当初予定していた研究成果をあげているので,次年度に研究成果発表旅費,研究成果論文別刷り代を支出することにしている.
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