研究実績の概要 |
(1)一線式PLC伝送方式の開発:2012年度には、漏電ブレーカの誤動作問題と従来のDifferential-mode伝送時の信号減衰問題の両方を回避できる方式として、PE線(Protective Earth, コンセントの3番目のアース端子)とN(Neutral)線間に信号を注入するN-PE方式が最良であることを見出した。2013年度は、研究室以外に、一戸建て家屋、商用ビル、大学の講義棟、研究棟、ハワイのホテルで提案方式を検証し提案方式が有用であることを論文にまとめた(2015年採録決定)。またN-PE方式でも、ビルのフロア間での通信は困難であったが、フロア間を縦断するケーブルを用いて(1線のみでよく、信号の帰路は大地を用いるシングルエンド型伝送方式)インダクティブカプラでPLC信号の注入抽出を行う一線式PLC伝送方式を開発した。2014年度は、信号の帰路として大地を用いることが困難な架空線路においても、L線をクランプすることによって、N線を帰路とする方式を開発した(2015年国際会議発表済み)。
(2)インダクティブカプラによる非接触給電:自作のトランス(コアは珪素鋼板)による、商用周波数で20アンペア流れている電力線からの非接触給電の可能性を検討した。その結果5W(1.5kΩ)まで給電可能であり、本研究で目標とした5mWのマイコンへの給電の場合には、1.7A以上商用電流が流れていれば自己給電できることを実験的に明らかにした。
(3)ワイヤレス給電による非接触給電:磁気共鳴型のワイヤレス給電用アンテナ(自作)を用いて、20cm離れた場所に給電しながらPLCも行えることを実験的に明らかにした。
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