研究課題/領域番号 |
24560465
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
西山 英輔 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30295026)
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研究分担者 |
豊田 一彦 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80612663)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | レクテナ / 無線電力伝送 / 平面アンテナ |
研究概要 |
本研究の目的は、電源のユビキタス化への第一歩となる基礎的な無線電力伝送システムの基となるレクテナの提案とその実用性の検証である。本研究では、我々がすでに提案した平面アンテナと高周波機能回路とを融合させる技術を活用することで、平面アンテナと高周波回路を有効的に組み合わせが可能になり、機能性と拡張性を持つ非常にコンパクトな構成となる。その結果、高い変換効率のレクテナが得られる。平成24年度は、レクテナユニットの基本特性を調べ、動作原理を導き出し、さらには高出力のためのユニットアーレについて検討する計画であった。 まず、提案するレクテナの基本形について、その特性を詳細に調べた。その結果、レクテナのアンテナ部の給電線と整流回路を構成する回路の特性インピーダンスが、最も電力変換効率の関係していることが分かった。特性インピーダンスにより電力変換効率が変化し、最大の変換効率が得られる値があることを明らかにし、電力密度が0.034mW/m2の非常に微弱な場合において、約45%の極めて高効率のRF-直流電力変換効率が得られることが分かった。これは、本研究で提案したレクテナの構成が、コンパクト構造で高効率の性能を持つことを示している。 さらに、このレクテナユニットのアレー化について検討を行った。最も単純なアレー構成として、2ユニットのアレーの直列、並列接続について検討した。直列接続することで2倍の電圧、並列接続することで2倍の電流を得ることができた。一般のレクテナでは、高出力を得るためにアンテナ部の拡張によるRF領域で電力合成が行われるが、この場合給電回路における損失が変換効率を下げる。本研究では、DC領域で電力合成が可能であるために、損失を増やすことなくレクテナの拡張に見合った高出力が得られることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では、提案するレクテナの基本形について、アレー素子配列間隔、給電回路の特性インピーダンス、直流リターン兼高調波抑圧回路や負荷抵抗値などとレクテナの変換効率特性との関係とレクテナの詳細な動作原理を導き出す予定であった。計画では、解析の手段として電磁界シミュレータを利用する予定であったが、実際には実験で行った。しかしながら、基本特性を詳細に解析でき、電力変換効率が給電回路と整流回路の特性インピーダンスに最も関係していることを明らかにし、最適値を示すことができた。これらの解析により、レクテナの基本動作原理を分析できた。 また、レクテナユニットのアレーの検討も初年度の計画にある。基本レクテナユニットの直列接続、並列接続についてシミュレーションと実験で検証することを計画としていた。本年度は、ユニットの直並列接続について実験的に検討を行い、提案のアレー方式が有効であることを確かめ、実験のみの検証であったが、その実効性を示せた。
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今後の研究の推進方策 |
前年度の研究結果を基に基本レクテナユニットの最適設計を行い、ユニットの直並列接続の大規模拡張について検討する。このユニットのDC領域の接続による拡張が非常に良い有効性であること、その構成が非常にコンパクトであることが示されたので、より多くのユニットの接続による拡張を図り、高出力のレクテナの実現性について検証する。 また、本研究で提案しているレクテナユニットは半端整流型で動作する。接続の構成を見直し、新たな構成を提案することで、一部のアンテナ素子については全波整流で動作する可能性について検討する。これを実現させ、さらなる効率の向上を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
旅費を研究資料収集と研究成果を発表するために充てる。 消耗品費をレクテナの製作の材料費に充てる。
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