研究課題/領域番号 |
24560465
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
西山 英輔 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30295026)
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研究分担者 |
豊田 一彦 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80612663)
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キーワード | レクテナ / ディファレンシャル / 高効率 / 拡張性 |
研究概要 |
本研究の目的は、電源のユビキタス化への第一歩となる基礎的な無線電力伝送システムの基となるレクテナの提案とその実用性の検証である。本研究では、我々がすでに提案した平面アンテナと高周波機能回路とを融合させる技術を活用することで、平面アンテナと高周波回路を有効的に組み合わせが可能になり、機能性と拡張性を持つ非常にコンパクトな構成となる。その結果、高い変換効率のレクテナが得られる。平成25年度は、24年度の成果を用いてその拡張性について検討を行う計画であった。 まず、基本ディファレンシャルレクテナユニットの構成の検討を行った。その基本ユニットは2つのマイクロストリップアンテナ素子と1個の整流用ダイオードをディファレンシャルで動作するように配置したレクテナである。ここでは、アンテナ素子数を3素子に増やし直列になるよう配置し整流用ダイオード2個をそれぞれの素子間に接続しディファレンシャルで動作するレクテナを提案し、その特性を調べた。このレクテナユニットは、3つの素子を直列にすることで高電圧を生じさせる特徴を持つ。さらには、このユニットを直並列接続にし、高効率のレクテナを製作し実験的にその特性を調べ、良好な結果を得た。 また、基本ディファレンシャルレクテナユニットを”口”形状に接続した構成のレクテナアレーを提案した。一般的には、RF無線電力伝送では、アンテナの偏波面と到来電波のそれを一致させる必要があり、ミスマッチで伝送特性が低下する。ここで提案したレクテナアレーは、電波の偏波面の不一致による伝送効率の低下を抑え、偏波面によらず効率よくエネルギーを変換できることを特徴としている。このレクテナアレーの特性を実験的に調べ、偏波角によらず、良好なRF-DC変換特性が得られることを確かめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では、提案するレクテナの基本形について、その素子を多数RFアレーしたレクテナの検討を行う計画であったが、RFアレーを構成した場合、素子数の増加とともに給電回路の損失が増え、変換効率が低下することが分かった。そこで、基本ディファレンシャルレクテナユニットを発展させ新しい構成の拡張型レクテナユニットの2種類を提案し、その検討を行った。 新しく提案したレクテナの特性は、実験的にのみ検討を行った。電磁界シミュレータを活用し解析することで、動作原理まで解明できたと思われる。しかしながら、新しい拡張型ディファレンシャルレクテナ構成は、高電圧の発生を実現するレクテナと偏波角に依存しないレクテナであり、従来の基本ディファレンシャルレクテナユニットの高性能化に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
前年度までの研究結果を基に拡張型レクテナユニットの最適設計を行い、ユニットの直並列接続の大規模拡張について検討する。このユニットのDC領域の接続による拡張が非常に良い有効性であること、その構成が非常にコンパクトであることが示されたので、より多くのユニットの接続による拡張を図り、高出力のレクテナの実現性について検証する。 実際にこのレクテナを利用する場合の負荷側のインピーダンスとのマッチングが必要になる。そのために、負荷側とのマッチングに関する検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
ダイオードなどのディバイスは、100個単位で購入したほうが安く購入できるため、数個での購入を控えたため。 レクテナを製作するための部品購入に充てる。
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