本研究の目的は、電源のユビキタス化への第一歩となる基礎的な無線電力伝送システムの基となるレクテナの提案とその実用性の検証である。本研究では、我々がすでに提案した平面アンテナと高周波機能回路とを融合させる技術を活用することで、平面アンテナと高周波回路を有効的に組み合わせが可能になり、機能性と拡張性を持つ非常にコンパクトな構成となる。その結果、高い変換効率のレクテナが得られる。平成26年度は、24年度と25年度の成果を用いてその拡張性について検討を行う計画であった。 25年度に提案した基本ディファレンシャルレクテナユニットを”口”形状に接続した構成のレクテナアレーを引き続き検討した。このレクテナは、電波の偏波面の不一致による伝送効率の低下を抑え、偏波面によらず効率よくエネルギーを変換できることを特徴としている。25年度は実験によりその特性を評価したが、26年度は等価回路を導き出し、その妥当性を確認し、計算による特性の検討を行った。その結果、偏波角によらず、良好なRF-DC変換特性が得られることを、電磁界シミュレーションでも確かめた。 更に高効率化をめざし、レクテナ拡張のために基本ユニットの最適化のための検討を行った。受信用アンテナと整流用のダイオードとの良好なインピーダンスマッチングを得るために、その特性を解析と実験で調べた。整流回路に適切なインピーダンスの短絡型スタブを付加することで、変換効率が向上することが分かった。これにより、前年度までに明らかにした拡張性のあるレクテナの性能をさらに、向上させることが可能となる。 本研究で提案している平面アンテナと高周波回路を有効的に組み合せたレクテナが、機能性と拡張性を持つ非常にコンパクトな構成となり、高いRF-DC変換効率が得られることを示した。
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