本研究は,OFDM通信方式おいて送信信号の隣接帯域への漏洩電力(以下帯域外漏洩電力と称する)を抑圧する新しい手法を提案し,実用化に向けた性能評価を行うことを目的としている.本年度はN-continuous OFDMのプレコーディング行列を特異値分解することで,より小さな回路規模で本手法を実現できることを提案した.また昨年度提案したNCSP-OFDMの受信機側の計算量を削減する手法を提案した.復調時に必要となる逆行列計算をノイマン展開を用いて近似することで,電力スペクトル密度特性や誤り率特性を劣化させずに計算量を大幅に削減することに成功した.さらにN-continuous OFDMの誤り率劣化の原因である修正シンボルの電力偏在を解消する手法を提案した.本手法はプレコーディング行列の自然な拡張となっており,提案するプレコーディングにより生成される修正シンボルの電力は,周波数領域で完全にフラットとなるため,誤り率劣化が改善される. 研究成果は海外論文誌に1件,国内論文誌に1件受理された.また,国際会議ICC2014(H26年6月,シドニー・オーストラリア)にて1件,国際会議ICTC2014(H26年10月,釜山・韓国)にて2件発表し,国内学会で8件の研究発表を行った.さらに,平成26年度電気関係学会関西連合大会で発表した2件の発表に対して,奨励賞および優秀論文発表賞を授与された(H27年4月).また電子情報通信学会通信方式研究会より奨励賞を授与され(H27年7月),招待講演を行うこととなった.
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