研究課題/領域番号 |
24560473
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研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
奥田 正浩 北九州市立大学, 国際環境工学部, 教授 (10336943)
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キーワード | 高ダイナミックレンジ画像 / 画像復元 / ブレ除去 / 画像統合 / 色変換 |
研究概要 |
平成25年度の研究成果は以下の通りである。 高ダイナミックレンジ画像のノイズ除去:暗部と明部両方において高いコントラストで画像を復元し、ダイナミックレンジを向上させるためには、暗部のノイズ除去が不可欠となる。ここではノイズ除去を目的とした高ダイナミックレンジ画像の復元手法を提案している。昨年度にフラッシュを用いた画像と高ISO感度で撮影したノンフラッシュ画像を統合することにより、暗部のノイズを低減し、結果ダイナミックレンジが向上する手法を提案したが、二つの画像間で完全な位置あわせが行われている場合でのみ有効であったため、実用性に欠ける方法であった。今年度は画像間の画素対応がとれていない場合のフラッシュ・ノンフラッシュ画像の統合手法について取り組んだ。色変換問題を凸最適化を組み合わせた新しいアルゴリズムの考案により、従来では困難であった暗所撮影時に動きのある画像や手ぶれのある画像においてもブレのない鮮明な画像を取得することが可能となり、またノイズ除去やホワイトバランス補正などにも応用が可能であることを確かめた。またフラッシュ・ノンフラッシュ画像に限定しない一般的な画像統合アルゴリズムの考案にも着手し、一定の成果が得られている。 上記の研究成果に対して対外発表を行った。IEEEのフラグシップ会議であるInternational Conference on Image Processing(ICIP 2013)やInternational Conference on Acoustics, Speech and Signal Processing (ICASSP 2013) において合計3件の論文を発表した。またICASSP 2014で論文が4件採択され、発表予定である。さらに現在学術論文が2件採択され、IEEE Tran. on Image Processingに1件投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度から暗所撮影におけるダイナミックレンジ向上のためのフラッシュ・ノンフラッシュ画像の統合手法や画像統合の重み関数設計に関する研究をより重点的に研究することとなった。とくにノイズ除去とブレ除去は実質的なダイナミックレンジ向上のために不可欠な課題である。本研究では積極的に複数画像を用いることにより、従来よりも良好なノイズ除去性能やブレ除去性能が達成されており、概ね順調に伸展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
現在までに構築した手法は高ダイナミックレンジ化、ノイズ除去、ブレ除去を目的とした画像統合手法であったが、今年度はそれを一般化させより柔軟な画像統合問題として定式化し画像復元アルゴリズムを考案することを目的とする。その後、高ダイナミックレンジ動画像の復元手法、暗所における工業製品のキズ検出および色むら検出、強い鏡面反射成分を持つ物体の高ダイナミックレンジ画像取得、辞書学習を用いた白飛び、黒潰れ部の予測手法などに発展させる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初、国際会議(オーストラリア)に参加予定であったが、学内業務のため参加不可能となったため。 まず、既に25年度の研究成果を数件国際会議で発表することが決定しているため、その旅費の旅費を計上する。また、高ダイナミックレンジセンサ用のレンズ、実験用の高性能グラフィクスボード、論文別刷り代等を計上する。また、実験データの取得にかかる費用として人件費の使用を予定している。
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