研究課題/領域番号 |
24560478
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
白井 宏 中央大学, 理工学部, 教授 (00196594)
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研究分担者 |
佐藤 亮一 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (00293184)
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キーワード | 移動体通信 / 電波伝搬解析 / 光線追跡 / SBR法 |
研究概要 |
本研究は、通信基地局の効率のよい配置や通信電波の正確な伝搬予測のために必要となる電波伝搬環境の予測を効率よく行う光線追跡アルゴリズムを開発し、その予測結果を高速かつ正確に行う解析・表示システムの開発を行うものである。 前年度に得られた建築物の壁によって反射・散乱された電波を逐次、電界強度を求めながら追跡する解析アルゴリズムを具体的なプログラムに組むことによって、簡単な形状をもつ建築物による散乱解析を行い、その結果を可視化した。建築物の壁内の多重反射効果を一回反射波や一回透過波に集約的に組み入れて計算する方法を採用し、計算時間を大幅に削減することが可能であることが示したが、それらの効果がどれほど最終的な合成界に必要か、まだ疑問が残っている。また建物内へ透過する伝搬波の光線追跡解析を行うアルゴリズムがほぼ完成した。こうして作成したプログラムは、反射解析と透過解析が別々の形で解析されているので、これらの解析を統合し、ひとつのプログラムで実行できるようにする必要がある。 広域を電波伝搬解析するためには、まだ計算時間がかかるので、高速な追跡手法について検討を行い、光線追跡の間隔を粗くした場合に、観測されない光線をどのように補間することができるかについての知見の収集を開始した。 現在のところ、建物はすべて方形をした場合についての解析に限定している。最近の都市部の高層建築物は方形とは限らず、丸みを帯びたものを含めいろいろな形状がある。こうした建造物は多角形近似をすることにより、現プログラムでも適用可能であるが、建物の表面曲率が大きくなると、精度が悪くなる可能性もあるので、曲率のある建物形状の扱いについてさらに検討する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度に得られた建築物の壁によって反射・散乱された電波を逐次、電界強度を求めながら追跡する解析アルゴリズムを具体的なプログラムに組むことによって、簡単な形状をもつ建築物による散乱解析を行い、その結果を可視化した。 建築物の壁内の多重反射効果を一回反射波や一回透過波に集約的に組み入れて計算する方法を考案し、それらを解析プログラムに導入できたこと、また建物内へ透過する伝搬波の光線追跡解析を行うアルゴリズムがほぼ完成している。今後はそれらを統合して、ひとつのプログラムとして作成することが必要になるが、おおむね順調に研究計画が進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
建築物の壁によって反射・散乱された電波を逐次、電界強度を求めながら追跡する解析アルゴリズムを具体的なプログラムに組むことによって、簡単な形状をもつ建築物による散乱解析を行い、その結果を可視化した。建築物の壁内の多重反射効果を一回反射波や一回透過波に集約的に組み入れて計算する方法を採用し、計算時間を大幅に削減することが可能であることが示したが、それらの効果がどれほど最終的な合成界に必要か、まだ疑問が残っている。また建物内へ透過する伝搬波の光線追跡解析を行うアルゴリズムがほぼ完成した。こうして作成したプログラムは、反射解析と透過解析が別々の形で解析されているので、これらの解析を統合し、ひとつのプログラムで実行できるようにする必要がある。 広域を電波伝搬解析するためには、まだ計算時間がかかるので、高速な追跡手法について検討を行い、光線追跡の間隔を粗くした場合やさらに複数の計算機を用いて、異なる角度範囲の光線追跡を並列に行う計算アルゴリズムの検討を行う。また観測されない光線をどのように補間することができるかについてもさらに検討する。直接波しか届かないような散乱体となるような建物がない場合には、比較的簡単に補間を考えることができるが、散乱体によって反射・透過した複数の電波が異なる方向から伝搬したときには、それぞれについての補間がどのようにできるか、検討する必要がある。 現在のところ、建物はすべて方形をした場合についての解析に限定している。曲率のある建物形状をどのように散乱体データとして格納し、それらの形状からの散乱をどのように扱うのかについて、さらに検討する必要がある。 最後に作成した解析プログラムの精度について検討するには、実際の地理情報を下に無線LANのような小型基地局からの放射波を受信して、その強度を詳細に比較する必要がある。こうした測定実験も合わせて行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
消耗品の購入の関係で若干の残金(3,808円)が出た。 次年度の交付金とともに消耗品の購入費用等に当てる予定である。
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