電気磁気学における誘電率と透磁率の両方または一方が負である材料を,メタマテリアル とよんでいる.本研究は,アンテナ単体で,右旋円偏波,左旋円偏波,水平偏波,垂直偏波を放射できる「多重偏波放射メタマテリアルアンテナ」を創造することにある.今年度は前年度の研究成果をもとに,2周波反円偏波アンテナの利得および両偏波周波数の分離度について検討した.研究成果を以下に示す. 1.2周波反円偏波アンテナの利得:左手系の特性を有するループアンテナ,ヘリカルアンテナ,スパイラルアンテナでは,左旋円偏波利得と右旋円偏波利得の値に違いを生じていた.本研究では,スパイラルアンテナ上部に誘電体スラブを設置し,両利得を近づける検討を行った.誘電体スラブを設置することにより,低域での左旋円偏波利得が増加し,右旋円偏波利得に近くなることを明らかにした.さらに,ヘリカルアンテナでは,巻数を変化することで左旋円偏波利得と右旋偏波利得を調整することができることを明らかにした.巻数2.5ターンの時,両利得はほぼ等しくなる. 2.両偏波周波数の分離度:2線角形スパイラルアンテナの辺数を変化させ,両偏波周波数の分離度を検討した.スパイラルアンテナの辺数を増加させると,両偏波周波数の分離度は減少する.この時,右旋円偏波利得と左旋円偏波利得は増大することを明らかにした.
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