研究課題/領域番号 |
24560483
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
常川 光一 中部大学, 工学部, 教授 (40434568)
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キーワード | ワイヤレス電力伝送 / 充電システム / 電気自動車 / 小型電子機器 / 小型アンテナ / 電界結合 |
研究概要 |
ワイヤレス電力伝送の実現可能性を探るため、コンデンサを挿入した平衡二線伝送路により空間で電力を伝送する方法を提案する。これは独立した2つの伝送路(線路)で空間の局所的な2点に電位差を発生させる案である。回路的検討により比較的高い伝送効率が得られることがわかったが、アンテナの構成法が問題である。そこで、本年度は以下を行った。 1)等価回路解析 電界結合型の無線電力伝送(独立伝送形)方式について、その等価回路解析により、動作原理と特性の検討を行った。まず等価回路を作成し、シミュレーション、実験と比較してその各素子定数を決定した。次に伝送効率に対する各素子パラメータの影響について検討した。伝送効率については、LとCのQ値が与える影響は同等であること、周波数と負荷抵抗を適宜調整すれば伝送距離を伸ばせることを確認した。一方、同一アンテナにおいて金属板間のキャパシタンス(結合容量)を減らせば伝送効率を上げられる可能性がわかった。これは本方式特有の性質である。 2)整合回路の設計と実測 上記解析により、アンテナ間結合が小さくなるにつれ入出力インピーダンスが数Ω以下低下することがわかった。このため伝送距離を伸ばすと50Ω系では不整合による効率低下が支配的になるため、本方式に適合する整合回路を設計し実測を行った。整合回路は共振用インダクタ素子と結合コイルを介したものである。本整合回路により、50Ω系においてアンテナ最大幅と同等の伝送距離で90%程度の効率を得た。 本方式は送受信アンテナの位置ずれに関して効率劣化が少なく、大電力の伝送でも熱上昇が抑えられる。一方、電極が平面であるため装置への設置性が良い。伝送距離はアンテナ幅程度であるが、実験において高い効率を得たことからヘリカルコイルを用いた磁界結合方式に対して、本二枚電極形の電界結合方式が電気自動車の充電システムにより適切であると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
提案段階では、本年度に屋内空間で送受信アンテナの位置自由度を上げるための対策を明らかにすることが目標であった。しかし、このような条件を満たすアンテナ配置や制御方法を各種検討したもの、十分効率が高く実用的な手法を見出すには至らなかった。特に空間分割多重原理(MIMO)の活用は可能性は高かったものの、電力伝送の伝送効率向上においては小型アンテナとなる低い周波数が、MIMOでは放射特性形成を狙った高い周波数が適していることから、そのトレードオフで両立が出来なかった。そこで、ある程度のアンテナ位置自由度に限定して効率の向上を優先することとした。従って、本方式実用化イメージが電気自動車や小型電子機器の充電に重きを置く方向になってきている。しかし、実用化を目指すにはより適切な修正であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の数値目標は変えない。すなわち、試作装置により、2mで数百mWの伝送を実現する。ただし、上記理由から自由度はある程度の限定をし、一方で効率では80%以上目指したい。この場合の、アンテナ最大幅は電気自動車の大きさを考えて1m以下を目標とする。すなわち、アンテナの幅の2倍の伝送距離で効率80%、アンテナ幅と同等(1m)であれば90%を狙う。このため、ユビキタスシーリングライトへの組み込み方法の検討は今後の課題としたい。当初の予定どおり、本システムの実用的なデモ装置を試作し、特性を確認すると共に既存装置への影響を調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
H25年度に実施予定「屋内空間で送受信アンテナの位置自由度を上げるための対策」についてアンテナ配置や制御方法を各種検討したもの、十分効率が高く実用的な手法を見出すには至らなかった。特に空間分割多重原理(MIMO)の活用はアンテナ周波数の最適領域がトレードオフとなり両立が出来なかった。このため、試作準備をする予定であった消耗品を繰越すこととなった。そこで26年度はより実用的な試作装置を目指して開発を進め、その費用と合わせて使用することとした。 当初の数値目標は変えずに、無電源電子ペーパ、小型電子機器充電や電気自動車充電の試作装置開発を目指す。従って、試作装置の形式は若干変更ずるもののH26年度は当初の予定どおり、本システムの実用的なデモ装置を試作を行い、計画どおりの予算執行をして研究目標を達成する。
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