昨年度までに検討した光クロック逓倍実験では、各逓倍回路を1入力2出力、2入力1出力の光カップラで構成した。この場合、出力光クロックの各ピークパワーを比較的容易に等しくできるが、逓倍回路全体の損失は原理的に (3×n)dBとなる。逓倍回路を2入力2出力の3dB光カップラを用いて構成すると、逓倍回路全体の損失は、原理的に最後の光カップラによる3dBの損失のみとなるが、出力光クロックの各ピークパワーを等しくするためには、各カップラに要求される特性が厳しくなる。 この問題を解決するために、偏波保存光ファイバのみからなる10GHz→20GHzの光クロック2逓倍回路を作成した。偏波保存光ファイバで光クロック逓倍回路を構成すると、逓倍回路を多段接続した時の全体の損失を抑えつつ、ピークパワーが等しい出力光クロックを生成できると期待できる。逓倍出力光クロックにおける隣接光パルス間の位相は、偏波保存光ファイバの側面から圧力をかけることで制御した。波長可変レーザーを制御光として用いた位相安定化実験を行い、長さ39mの偏波保存ファイバを用いて、RZ光クロックで25dB以上、CS-RZ光クロックで22dB以上の不要サイドバンド抑圧比で2逓倍出力光クロックを生成した。
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