研究課題/領域番号 |
24560487
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研究機関 | 福岡工業大学 |
研究代表者 |
内田 一徳 福岡工業大学, 情報工学部, 教授 (50099024)
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キーワード | 伝搬 / センサネットワーク / ランダム粗面 / 市街地 / 通信距離 |
研究概要 |
平成25年度の研究では,ランダム粗面に沿って進む電磁波の伝搬特性が,申請者が提案した2波モデルを組み入れた1波モデルを用いることによって,理論計算結果又は実験結果に基づいたパラメータを適切に選べば簡潔な数式でその特性が記述できることを種々のシミュレーション結果によって明らかにした. この1波モデルによれば,各観測点での通信距離が平均的な意味で容易に推定できるので,ランダム粗面や市街地等の複雑な伝搬環境下において,センサーノードや基地局等を定量的且つ効率的に配置する方法について考察が可能となった.本研究では,粒子群最適化法を採用することによって,携帯電話を想定した市街地における基地局配置の一算法を提案することができた. また市街地伝搬に関しては,実験式として世界的にも良く知られている奥村・秦モデルを援用し,内挿法によって伝搬特性を推定する方法も提案した.さらに,ランダム粗面上伝搬特性のシミュレーション研究にとって必須の算法であるランダム粗面生成については,対象とする粗面のスペクトルは限定されるが,これまでの数値的な手法に加えて解析的な表現式に基づく粗面生成アルゴリズムを提案することができた.この手法により,任意の不均質な粗面生成が可能となり,種々のランダム粗面に関する伝搬シミュレーションを行うことが可能となった. 以上の研究成果として,学術論文3編,国際会議プロシーディング8編,研究会報告5編を公表することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ランダム粗面に沿う電磁波の伝搬特性解明のためのシミュレーション法の開発が本研究の主題である.電磁界計算のアルゴリズムの開発に関しては,過去の科研費による研究で開発したDRTM (Discrete Ray Tracing Method) 法に基づいているが,本年度の研究で適用した粒子群最適化法 (Paticel Sworm Optimazation Method) や新しく開発した1波モデルと解析的なランダム粗面の生成法は,申請者独自のアイディアに基づくものであり,新規性に富む研究内容であると考えている. また研究成果として,学術論文3編,国際会議プロシーディング8編,研究会報告5編を公表できたことは,本研究の研究費に対して十分に満足できる内容であり,研究の目的はほぼ達成されたと評価している.また国際会議において,関連研究成果について Key Note Talk を行うことが出来たこともその評価の一つである.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度の研究は本研究のまとめである.ランダム粗面等の複雑系伝搬路に沿う電波伝搬問題の数値シミュレーションに対してこれまでに開発してきた,レイ・トレース法に基づく電磁界計算のためのDRTM法,2波モデルを組み入れた1波モデルによる伝搬特性の把握,基地局最適配置のための粒子群最適化法,不均質ランダム粗面生成のための解析的手法等の相互の関連性を明確にし,PC (Personal Computer)で誰でも容易に計算できるように各アルゴリズムを整理することである. 数値計算には大学院学生の協力を得ることとし,研究成果は国際会議4編を予定している.また今後の研究課題の一つとして,レイ・トレース法以外のレイ探索法を開発し,電磁波以外の波動(例えば津波)の進行の様子をPC上でシミュレーションして行きたいと考えている.
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