研究課題
最終年度の平成26年度の研究では,ランダム粗面に沿って進む電磁波の伝搬特性を数値解析的に明らかにするに当たって,簡便な手法を開発することであった.平成24年度と25年度においては,電磁界計算に申請者が提案した離散型レイ・トレース法を適用してきたが,ランダム粗面のパラメータすなわち平均高と相関長の値に依存してレイの探索に計算時間を要することが欠点であった.そこでこの研究では,まずランダム粗面のパラメータに基づく離散化の指針を定量的に与え,離散点の数をできるだけ少なくすることとした.さらに,これまでと全く異なるレイの探索法について考究し,これまで以上の計算時間の短縮化を図ることとした.そこでこの研究では,フェルマーの原理に従う波動(レイ)は常に最短時間の軌跡をたどることに着目し,連結グラフの最短経路探索を短時間に実行できるダイクストラ法の応用について数値解析的な研究を行った.実用的な波動問題の例として,海岸線近傍での津波伝搬と不均質誘電体レンズ中の光伝搬についてシミュレーションを実行した.近似的なレイ探索であるが,この手法は簡便で計算時間を余り要しない最適化の一手法であることが数値的に確かめられた.その結果,この研究の主目的であるランダム粗面や市街地等の複雑な電磁環境での電波伝搬特性について,比較的少ない計算時間でまた簡便に数値解析できる道が開けた.以上の研究結果は,国際会議プロシーディング5編,研究会報告2編として公開した.また国際会議(NBiS 2014,Italy)では, Best Paper Award を受賞した.
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)
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www.fit.ac.jp/~k-uchida/