研究課題/領域番号 |
24560491
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研究機関 | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工 |
研究代表者 |
田中 秀磨 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, 電気情報学群, 准教授 (30328570)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 代数的手法 / 軽量ブロック暗号 / integral攻撃 / カウンター攻撃 |
研究実績の概要 |
前年度に示した理由により、今年度はこれまで得られた代数的手法に関する知見を暗号技術の安全性評価において展開した。本研究成果として、昨今、開発が著しい軽量ブロック暗号の安全性評価手法として提案を行った。軽量ブロック暗号の処理経路はネットワークとして見なせるので、各ノードにおける処理と暗号化関数を関連付けることにより、その代数的特性を見積もることが基本アイデアである。その結果、特に軽量ブロック暗号に有効とされるIntegral攻撃の耐性を従来手法よりも詳細に解析できる手法の提案を行った。本結果は、査読付き国際学会に計3件の発表を行った。そのうち1件はSpringer社のLNCSシリーズで予稿が発刊(採択率が30%未満が保証されている)されるものであり、本研究分野として高い成果を挙げたと言える。特に2015年に提案されたばかりのRECTANGLEというブロック暗号に対する安全性評価では貢献できた。さらに1件の国内学会発表を行った。 また、ネットワーク符号化及びルーティングに関する知見によりネットワーク攻撃における最適な攻撃戦略を導出する手法に関する研究を実施した。これは、ダークネット観測によって得られた攻撃性の高いIPアドレス群に対しtracerouteコマンドを用いて経路を探索し、これらを多数収集することで悪意ある攻撃元が利用するローカルなネットワークトポロジーマップを導出することから始める。得られたネットワークに対し、マルウェア拡散、情報遮断などの攻撃シナリオを仮定して、それらを有効に実行せしめるようにネットワークマップを改変する戦略手法の提案である。本件に関しては1件の国際学会を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画とは大分異なる研究内容へ路線の変更を行ったが、基本アイデアは同じであり、当初の研究の派生系と言える。特に論文成果数は顕著であり、学会での参加者と有意義な議論ができ、今後の研究活動へ新たな展望が得られた。また、現在4件の学術論文に投稿中であり十分に進展してしていると言え、路線の変更は概ね良好であると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は最終年度であることもあり、学術論文投稿を主に進める。また、改良手法及び別のアルゴリズム開発へのヒントが得られたことから、引き続き新たな手法の提案をできる限り実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた実験が応募者の所属変更に伴い場所の確保ができず実施不能となったため、実験機材を購入せず計算機シミュレーションなどへ変更した。また、当初は機材が高額であったが非常に安価となったという事情もあるため次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
当初の計画よりも国際学会参加や論文投稿が大幅に増えたため、旅費及び印刷代として使用する予定である。
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