研究課題/領域番号 |
24560495
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
貝原 俊也 神戸大学, その他の研究科, 教授 (70289114)
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研究分担者 |
藤井 信忠 神戸大学, その他の研究科, 准教授 (80332758)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | システム最適化 / 生産システム / マルチエージェントシステム |
研究概要 |
本研究では,製造業の海外移転に伴い,急速に大規模・グローバル化が進んでいる生産・物流システムの高効率化の実現を目指す.その際,まず社会科学が一般に追求する頑健性や効率性を有した社会的交渉メカニズムを内包する社会指向型マルチエージェントシステムの構築を行い,計算機実験によりその特性評価を行う.次に,実生産・物流システムを模した物理モデルであるモデルプラントを用いて提案法の具現化に関する方法論を明らかにした後,その有用性についての実証的検討を行う.これらの取組みにより,大規模生産のさまざまな局面で介在する人間(意思決定主体)の存在を前提とした,新しい「人とシステムの協調」による効率的で無駄のないシステム計画や運用のための方法論を構築し,大規模生産におけるその有効性を検証することが,本研究全体での目的である. そこで本年度は,まず社会指向型マルチエージェントシステムの構築とその特性評価を中心に,社会指向型マルチエージェントという新しい概念に対し,従来より研究を進めている社会的交渉メカニズムに従うマルチエージェントシステムについてさらに広範な調査を行い,理論的枠組みの整理や体系化を進めた.そして,社会的交渉メカニズムの一つであるオークションをベースとした組合せ最適化手法や分散協調型の資源配分手法などについて,人間のより精緻な意思決定機構を内包した新しい社会指向型マルチエージェントシステムのモデル化を検討し,定式化および基礎モデルの提案を行った.また,計算機実験により,本基礎モデルの有効性検証を実施した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
社会的交渉メカニズムの一つであるオークションをベースとした組合せ最適化手法や分散協調型の資源配分手法を対象に,人間のより精緻な意思決定機構を内包した新しい社会指向型マルチエージェントシステムのモデル化の検討や定式化,基礎モデルの提案については,当初の計画以上に進めることができた.また,当初,申請書に記載していた最適化計算の効率向上を図るためのマルチコア計算環境の準備については,GPGPU計算機ではなく,学内に新たに設置されたスパコンを利用する形態を模索しており,少し検討が遅れている.ただし,平成25年度における利用の目途もたち,特に大きな問題とはならない.
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に得られた結果を基にして,社会指向型マルチエージェントシステムの方法論確立に取り組むとともに,ある程度進んだ部分について,生産システムの物理モデルであるモデルプラントを利用し提案法のプロトタイプシステムの構築を行う. 我々の現有するモデルプラントは,あくまで小規模なFA工場の物理モデルであるため,これにさらに高速プログラマブルコントローラやRF-IDといった最新のセンサ・アクチュエータ・制御機器を実装し,さらに充実させたより精緻で大規模な物理モデルを構築する予定である.またこのモデルプラントは,完全な自動制御による運用が前提であるが,ここでは,人とシステムのインタラクションを可能とするために,生産システム内に自動制御から切り離された構成要素を設置し,人間のヒューリスティックに基づく運用方式の実装が可能となるような機能拡張を実施する.
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次年度の研究費の使用計画 |
上記の達成度にも記載のとおり,最適化計算の効率向上を図るためのマルチコア計算環境について,当初予定していたGPGPU計算機の新規購入ではなく,学内に新たに設置されたスパコンを利用する形態に変更を行った.そのため,この部分の物品費使用予定が平成25年度にずれ込んだ.なお,平成25年度には,モデルプラント改造費等の費用が発生するため,予定通り予算消化する見込みである.
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