研究課題/領域番号 |
24560496
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
玉置 久 神戸大学, その他の研究科, 教授 (10227267)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 問題解決 / 創発計算 / 人間モデル / インタラクション |
研究概要 |
知能・技能ハイブリッド型問題解決の方法論を考えるベースとして,情報論的な立場から問題解決・意思決定に肝要なシステム情報を認識・処理するための計算モデルがどのような形で形式化されるのか,またどのようなメカニズムで人間-機械系の協調が図られているのかといった点に関してサーベイを行った.この結果を踏まえつつ,人間の観測・認識・判断・操作の過程を必要な精度で再現できる人間モデル(熟練過程を記述・模擬可能な計算モデル)の枠組みについて検討し,実際的な人間-機械系のダイナミクスを含む問題解決の例題としてレーシングカートの操縦を取り上げ,この人間モデル(操縦者モデル)の具体的構成法を示した.計算機シミュレーションを通して,人間モデルの有効性・可能性を確認しているところである. 創発的インタラクションによる観測・認識・判断・操作サブモデルの再構築については,人間-計算機・機械系の知能レベルおよび技能レベルにおける協業形態(理想形)の形式化に着手し,効果的な協調メカニズムおよび情報共有や相互作用の理想的形態の明確化,ならびにこれを実現・達成するために必要とされるインタラクションの形成・進化メカニズムについて検討を進めているところである.今年度は,特に危機回避という点に注目し,ロバストネスやレジリエンスといった観点から効果的なインタラクションの在り方について予備的な検討を行った.これらの成果をもとに創発的インタラクションを形式化し,上述の計算モデル(人間モデル)に組み合わせる形でのプロタイプの構築を手掛けたところである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
人間モデルの構築に関しては計画通りに進められているが,創発的インタラクションに関してはその予備的な検討が完了した段階である.したがって,おおむね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き,まず,創発的インタラクション・モデルのプロトタイプの計算機上への実装を行うとともに,実際的な人間-機械系のダイナミクスを含む問題解決の例題を用いて,創発的計算モデルみ合わせることの効果・有用性を検証する. 次に,創発的インタラクションによる認識・判断・操作サブモデルの再構築における創発的計算モデルについて,知能・技能両面から,意思決定のための潜在能力ならびにそれを顕在化する能力の向上を通して適応的な問題解決・意思決定を実現し得る枠組み・方法論について検討するとともに,その計算モデルを構築する.問題解決の例題として,計画系の問題として生産システムや交通システムにおける人間中心型リアルタイム・スケジューリングの問題,また制御・運用系の問題としてレーシングカートの操縦支援問題を取り上げる予定である. さらには,知能・技能ハイブリッド型問題解決のための創発的方法論・創発計算モデルの構築・実現に向け,知能・技能ハイブリッド型問題解決のための創発的方法論の体系化についても検討を始める予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
創発的方法論・創発的計算モデルによる問題解決の例題として取り上げるレーシングカート操縦(実機実験)において使用する実験用レーシングカートおよびノートパソコンを設備備品として購入するとともに,これらに関連する消耗品の購入を予定している.また,実機実験に際してのカート運搬費用,ならびに成果発表のための旅費・投稿料を計上している.
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