平成24年度、平成25年度で開発した腹部X線CT画像を対象にしたコンピュータ支援画像診断(CAD)システムを用いて、腹部X線CT画像の解析を行った。このCADシステムでは、複雑な特徴を示す医用画像を解析することが可能な新しい人工ニューラルネットワーク理論を組み込んでいる。このニューラルネットワーク理論は、学習理論に回帰主成分分析を用いて、特徴量の高精度な解析を行うことにより、対象となる医用画像の特徴をネットワークの中に記憶することができる。また、最適な画像特徴量(入力変数)の自己選択機能とニューラルネットワーク構造の自己選択機能を備えている。このため、多くの画像特徴量の中から対象となる腹部X線CT画像の解析に適した画像特徴量を自己選択することが可能である。また、ニューラルネットワーク構造の自己選択では、シグモイド関数型ネットワーク、ラジアルベース関数型ネットワーク、多項式型ネットワークの中から、対象となる腹部X線CT画像の特徴にもっともよく適合するニューラルネットワーク構造を自己選択することができる。平成26年度では、開発したCADシステムを用いて肝臓癌の領域抽出や、腹部のいろいろな臓器のコンピュータによる画像解析に応用することにより、問題点を抽出して、これらの問題点を解決するようにアルゴリズムの改良などを実施し、より実用的なコンピュータ支援画像診断システムの開発を行った。本研究で開発した人工ニューラルネットワークのアルゴリズムは、多くの中間層を備えた複雑な構造をした人工ニューラルネットワークを構成することが可能で、複雑な特徴を示す医用画像の解析に適しており、今後も研究を続けていく予定である。
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